
広島でLAN配線、防犯カメラ、通信設備、無線設備などの工事を請け負う場合、その工事が電気通信工事業に該当するのか、それとも電気工事業など別の業種で考えるべきなのか、判断に迷うことがあります。
電気通信工事業に該当するかどうかは、会社の業種名や使用する機器の名称だけではなく、実際に請け負う工事の内容によって判断します。通信設備の設置とあわせて電源工事を行う場合など、複数の許可業種を検討しなければならないケースもあります。
この記事では、広島で電気通信工事業の建設業許可を検討している事業者様向けに、電気通信工事の対象となる工事、電気工事業等との違い、常勤役員等や営業所技術者等といった許可要件、必要書類、申請の流れについて解説します。
電気通信工事業とは
電気通信工事業とは、電話線、通信ケーブル、無線設備、ネットワーク設備、防犯カメラ、放送設備など、情報を送受信するための設備を設置する工事を扱う建設業の業種です。
分かりやすくいえば、電気を供給するための工事ではなく、通信・映像・音声・データなどをやり取りするための設備を建物や工作物に設置する工事が中心になります。
たとえば、LAN配線、光ケーブルの敷設、社内ネットワーク設備の設置、防犯カメラや監視カメラの設置、館内放送設備、アンテナ設備などは、電気通信工事業に該当する可能性があります。
ただし、工事名だけで判断することはできません。契約書や注文書に「IT」「防犯設備」「通信設備」と書かれているかどうかではなく、実際にどのような設備を、どのように設置・接続するのかを確認して判断する必要があります。
電気通信工事業に該当する主な工事
| 分類 | 工事例 |
|---|---|
| 有線電気通信設備工事 | 電話線、通信ケーブル、光ケーブルなどの工事 |
| 無線電気通信設備工事 | アンテナ、無線通信設備、基地局関連設備などの工事 |
| データ通信設備工事 | LAN配線、ネットワーク設備、通信機器の接続工事 |
| 情報処理設備工事 | サーバー設備、情報処理設備などの設置工事 |
| 情報収集設備工事 | 防犯カメラ、監視カメラ、センサー設備などの工事 |
| 情報表示設備工事 | 電光掲示板、デジタルサイネージなどの工事 |
| 放送機械設備工事 | 館内放送設備、放送機器などの設置工事 |
| TV電波障害防除設備工事 | テレビ電波障害対策設備の工事 |
たとえば、防犯カメラの設置を考えたときに、カメラ本体を販売して納品・設置するだけの場合と、建物にカメラを設置して、配線、録画装置、ネットワーク接続まで施工する場合とでは、建設業許可上の判断が異なります。
一般的には、配線、機器の固定、設備の取付け等を含む場合は、電気通信工事業に該当する可能性があります。
改修・修繕と保守業務の違い
既に設置されている電気通信設備について、改修、修繕、補修を行う場合でも、電気通信工事に該当する可能性があります。たとえば、既設の通信設備を入れ替える、防犯カメラ設備を更新する、ネットワーク配線を変更する、といった作業です。
一方で、点検、清掃、動作確認、調整など、設備の状態を確認・維持するための保守業務だけであれば、原則として建設工事とは別に考えます。
もっとも、実際の現場では「保守契約」の中に部品交換、機器交換、配線変更、設備改修が含まれていることもあります。そのため、契約書、見積書、作業報告書などを確認し、単なる保守なのか、それとも電気通信工事に当たる工事が含まれているのかを確認することが重要です。
電気通信工事業の建設業許可が必要になるケース
電気通信工事業に該当する工事を請け負う場合でも、すべての事業者に建設業許可が必要になるわけではありません。法律上の許可の要否は、原則として1件の工事における請負代金の額によって判断します。
一方、請負金額が500万円未満であっても、元請会社からの要請や取引継続のため、入札参加などを目的として、電気通信工事業の許可取得を検討する事業者もあります。
500万円以上の電気通信工事を請け負う場合
電気通信工事業は、建築一式工事以外の専門工事に該当します。そのため、1件の請負代金が税込み500万円以上となる電気通信工事を請け負う場合は、原則として電気通信工事業の建設業許可が必要です。
500万円未満の工事は「軽微な建設工事」に該当し、そのような工事だけを請け負う場合には、建設業許可を受けなくても営業が可能です。
機器代や材料費を含めて工事を請け負う場合は、それらを含めた契約全体の金額で判断します。発注者から通信機器や材料の提供を受ける場合も、その価格を加えて判断する必要があり、工事代金だけを見て500万円未満と判断しないよう注意が必要です。
たとえば、防犯カメラ本体、録画装置、通信ケーブル、設置工事費をまとめて請け負う場合は、工事費だけではなく、機器代を含む契約全体の金額で判断します。
元請会社や取引先から許可を求められた場合
1件の請負代金が500万円未満であれば、法律上は必ずしも建設業許可が必要とは限りません。それでも、元請会社や取引先から、電気通信工事業の許可を取得するよう求められることがあります。
たとえば、元請会社の協力会社として登録する場合や、継続的に通信設備工事を受注する場合に、建設業許可の保有が取引条件とされるケースです。将来的に500万円以上の工事を受注したい場合や、公共工事への参入を検討している場合も、事前に許可を取得することがあります。
ただし、電気通信工事業の許可を取得しても、他の許可業種に当たる工事まで自由に請け負えるわけではありません。電源設備の施工を伴う場合は電気工事業、自動火災報知設備などを施工する場合は消防施設工事業との関係も確認する必要があります。
IT会社・防犯設備会社でも許可が必要になることがある
建設業許可が必要かどうかは、会社の名称や主な事業内容ではなく、実際に請け負う工事の内容で判断します。
IT会社がネットワークの設計や機器設定だけを行う場合と、LANケーブルの敷設、通信機器の固定、配線接続まで請け負う場合とでは、建設業法上の扱いが異なる可能性があります。
防犯設備会社についても同様です。防犯カメラを販売するだけであれば、通常は建設工事には当たりません。一方、カメラの取付け、通信配線、録画設備やネットワークへの接続まで施工する場合は、電気通信工事業に該当する可能性があります。
入退室管理設備、インターホン、デジタルサイネージなど、設備名だけで判断するのではなく、契約書、見積書、工事内訳書などを確認し、どのような工事が含まれているのかを確認することが必要です。
電気工事業・機械器具設置工事業・消防施設工事業との違い
電気通信設備には、他の専門工事などが組み合わされていることがあります。そのため、一つの工事が電気通信工事業だけで完結するとは限らず、施工内容によっては電気工事業、機械器具設置工事業、消防施設工事業との区分を確認しなければなりません。
業種を判断するときは、設備や機器の名称だけを見るのではなく、工事の主な目的と実際の施工内容を確認します。同じ防犯カメラ工事でも、映像・通信設備の設置が中心なのか、電源設備の施工が中心なのかによって、検討する許可業種が異なることがあります。
電気工事業との違い
電気工事業は、発電設備、送配電線、引込線、変電設備、構内電気設備、照明設備など、主に電気を供給するための設備を設置する工事です。一方、電気通信工事業は、通信、映像、音声、データなどを送受信する設備の設置を中心とします。
| 工事内容 | 主に検討する業種 |
|---|---|
| 分電盤、照明、コンセント、電源配線の工事 | 電気工事業 |
| LAN配線、通信ケーブル、ネットワーク設備の工事 | 電気通信工事業 |
| 防犯カメラの設置、映像配線、通信設備の工事 | 電気通信工事業 |
| 防犯カメラに電気を供給する電源設備の工事 | 電気工事業 |
| 通信設備と電源設備をまとめて施工する工事 | 両業種を検討する場合がある |
たとえば、防犯カメラの取付けと通信ケーブルの配線だけでなく、新たな電源配線やコンセントの設置まで請け負う場合は、電気通信工事業と電気工事業の双方が関係する可能性があります。
電気工事業の許可を持っていても、電気通信工事業の許可を持っていることにはなりません。両者は建設業法上の別業種であるため、それぞれの工事内容と請負金額を確認する必要があります。
機械器具設置工事業との違い
機械器具設置工事業は、機械器具の組立てや、工作物への取付けを行う工事です。ただし、機械器具を設置する工事の中には、電気工事、管工事、電気通信工事、消防施設工事など、他の専門業種に分類できるものもあります。
国土交通省の区分では、他の専門工事に明確に該当するものは、原則としてその専門業種に区分し、複合的な機械器具の設置など、他の専門工事に分類できない工事を機械器具設置工事として扱う考え方が示されています。
そのため、サーバー、通信機器、監視装置などの機械を設置する工事であっても、工事の中心が電気通信設備の設置であれば、電気通信工事業を検討します。「機械を設置する工事だから機械器具設置工事業」と、機器の名称だけで判断することはできません。
消防施設工事業との違い
消防施設工事業は、火災警報設備、消火設備、避難設備、消火活動に必要な設備などを設置する工事です。自動火災報知設備、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備など、消防法令上の消防用設備等を設置する場合は、消防施設工事業との関係を確認します。
一方、防犯カメラ、監視カメラ、入退室管理設備などは、一般に防犯や監視を目的とする設備です。映像や情報を送受信する設備の施工が中心であれば、電気通信工事業を検討することになります。
ただし、一つの建物で防犯カメラと自動火災報知設備をあわせて施工する場合など、複数の専門工事が含まれることもあります。このような場合は、契約書や見積書の内訳を確認し、それぞれの工事内容と請負金額を分けて整理することが重要です。
建設業許可(電気通信工事業)を取得するための要件
電気通信工事業の建設業許可を取得するには、主に次の要件を満たす必要があります。
- 建設業の経営経験等を備えた常勤役員等がいること
- 電気通信工事業に対応する営業所技術者等がいること
- 建設工事の請負契約を履行できる財産的基礎があること
- 建設工事の請負契約に関して誠実性があること
- 役員等が欠格要件に該当しないこと
- 必要な社会保険に加入していること
これらは、他の建設業許可業種にも共通する要件です。
電気通信工事業で特に確認したい営業所技術者等の要件
電気通信工事業の許可申請で、常勤役員等と同様に重要なのが、営業所技術者等の要件です。許可を受ける営業所には、電気通信工事に関する資格または実務経験を有する人を常勤で配置する必要があります。
営業所技術者等になる方法には、主に次のようなものがあります。
- 1級・2級電気通信工事施工管理技士などの対象資格を有している
- 電気工学または電気通信工学に関する指定学科を卒業し、所定の実務経験がある
- 電気通信工事について原則10年以上の実務経験がある
- 電気通信主任技術者や工事担任者の資格に加え、所定の実務経験がある
資格を持っていても、資格の区分や取得時期によっては実務経験が必要になることがあることには注意が必要です。
また、営業所技術者等は、その営業所に常勤していなければなりません。他社で常勤している人や、営業所への常勤が難しい人では、要件を満たさない可能性があります。
要件の確認を甘く見ない
「経管になれると思っていたが書類が揃わなかった」「営業所技術者の実務経験が証明できなかった」というケースは珍しくありません。申請前に書類の準備状況まで含めて確認することが重要です。
特に電気通信工事業の場合、常勤役員等や実務経験の証明には確定申告書・注文書・契約書といった客観的資料が必要になるため、早い段階からの準備をおすすめします。
電気通信工事業の建設業許可でお困りの方へ
広島県で電気通信工事業の建設業許可を取得するには、常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎、実務経験の証明書類などを事前に確認する必要があります。
自社で申請できる見込みがあるか確認したい方は、下記の「電気通信工事業の建設業許可について無料相談する」からお問い合わせください。
⇒ 電気通信工事業の建設業許可について無料相談する
電気通信工事業の建設業許可申請で必要となる主な書類
電気通信工事業の建設業許可申請では、申請書のほか、会社の概要、常勤役員等の経営経験、営業所技術者等の資格・実務経験、財産状況、社会保険の加入状況などを確認する書類が必要です。
主な書類は、次のように整理できます。
- 会社・営業所に関する書類
- 常勤役員等の経験、常勤性を証明する書類
- 営業所技術者等の資格、実務経験や常勤性を証明する書類
- 身分証明書、登記されていないことの証明書など、申請者や役員等が欠格要件に該当しないことを確認する書類
- 財務諸表、500万円以上の残高証明書、納税証明書
- 社会保険・雇用保険の加入を確認する書類
必要書類は、先に要件を確認してから収集を始める方が効率的です。
広島県で電気通信工事業の建設業許可を申請する流れ
電気通信工事業の建設業許可申請では、書類を集め始める前に、自社の工事内容と許可要件を整理することが重要です。広島県知事許可を申請する場合は、主たる営業所の所在地を管轄する建設事務所等へ申請します。
ステップ1 工事内容と許可業種を確認する
まず、過去に施工した工事と今後受注したい工事を整理します。LAN配線、防犯カメラ、通信設備といった電気通信工事業に該当するのか、それとも、電気工事業など別の業種も必要になるかを確認します。
ステップ2 許可要件を確認する
常勤役員等の経営経験、営業所技術者等の資格・実務経験、財産的基礎、社会保険の加入状況などを確認します。特に、常勤役員等の経営経験や営業所技術者等の要件は、早い段階で確認しておくことが大切です。
ステップ3 必要書類を準備する
要件を満たすことが確認できたら、申請書や必要書類などを準備していきます。行政書士が代理で申請する場合は、申請者から行政書士への委任状も必要です。
ステップ4 管轄の建設事務所等へ申請する
広島県内にのみ建設業を営む営業所を設ける場合には広島県知事許可を、複数の都道府県に営業所を設ける場合には国土交通大臣許可の対象となります。
申請後、記載内容の補正や追加資料の提出を求められることがあります。広島県等の最新の手引きと申請様式を確認して対応する必要があります。
ステップ5 許可取得後の手続きを確認する
許可取得後は、営業所への許可票の掲示、毎事業年度終了後の決算変更届、役員や営業所技術者等に変更があった場合の変更届が必要です。建設業許可の有効期間は5年間であるため、引き続き営業する場合は期限までに更新申請を行います。
行政書士に相談できること
電気通信工事業の建設業許可申請では、工事内容の確認、許可業種の判断、許可要件の確認、証明書類の準備など、申請前に確認や準備すべき事項が多くあります。
行政書士にご相談いただける主な内容は、次のとおりです。
- 建設業許可が必要かどうかの確認
- 電気通信工事業に該当するかの確認
- 許可区分の相談(一般建設業・特定建設業)
- 知事許可か大臣許可か
- 許可要件に適合しているか、許可取得の可能性についての診断
- 必要書類の洗い出し
- 申請書類の作成及び申請
- 申請後の補正対応
過去の契約書や注文書が十分に残っていない場合でも、直ちに申請できないと決まるわけではありません。使用できる資料がないかを確認し、申請の可能性を整理することが大切です。
公式情報も確認しましょう
電気通信工事業の建設業許可を検討する場合は、国土交通省や広島県の公式情報も確認しておくと安心です。
特に、工事内容の区分、許可要件、申請様式、手引きは、制度改正により変更されることがあります。
実際に申請を進める際は、次のような公式情報も確認してください。
申請時点の最新情報を確認したうえで、書類の準備を進めることが大切です。
よくあるご質問
- Q防犯カメラの設置工事は電気通信工事業に該当しますか?
- A
防犯カメラの設置、映像配線、通信設備、録画装置やネットワークへの接続まで施工する場合は、電気通信工事業に該当する可能性があります。ただし、カメラ用の電源配線やコンセント工事を含む場合は、電気工事業との関係も確認する必要があります。
- QLAN配線工事にも建設業許可が必要ですか?
- A
LAN配線工事は、一般に電気通信工事業に該当します。1件の請負代金が500万円以上となる場合は、原則として電気通信工事業の建設業許可が必要です。500万円未満であっても、元請会社や取引先から許可を求められることがあります。
- Q電気工事業の許可があれば、電気通信工事も請け負えますか?
- A
電気工事業と電気通信工事業は、建設業法上の別業種です。電気工事業の許可だけでは、許可が必要となる規模の電気通信工事を請け負うことはできません。電源設備と通信設備の両方を施工する場合は、双方の業種を検討する必要があります。
- Q通信設備の保守点検だけでも建設業許可が必要ですか?
- A
点検、清掃、動作確認、調整などの保守業務だけであれば、原則として建設工事とは別に考えます。一方、機器の交換、配線の変更、設備の改修や修繕を伴う場合は、電気通信工事に該当する可能性があります。
- Q実務経験を証明する注文書が残っていない場合は申請できませんか?
- A
注文書がないだけで、直ちに申請できないと決まるわけではありません。確定申告書、請求書、見積書、工事台帳、取引先が保管する資料など、工事内容と経験期間を確認できる資料が他にないかを確認してみる価値はあります。ただし、使用できる資料はお客様の状況によって異なります。
- Q工事担任者の資格があれば、電気通信工事業の営業所技術者等になれますか?
- A
工事担任者の資格で、電気通信工事業の営業所技術者等の要件を満たすためには、資格取得後に3年の実務経験が必要です。資格者証だけではなく実務経験期間も確認することが重要です。
広島で電気通信工事業の建設業許可をご検討中の方へ

電気通信工事業の建設業許可を申請する際は、自社の工事が電気通信工事業に該当するのか、電気工事業など別の業種も必要になるのか、最初に確認しておくことが重要です。
特に、次のような場合は、早めに要件を確認しておくことをおすすめします。
- 元請や取引先から電気通信工事業の建設業許可を求められている
- 広島で電気通信工事業の建設業許可を取得したい
- 電気通信工事で500万円以上の工事を請け負う予定がある
- 許可要件を満たしているかどうか不安
- 電気工事と電気通信工事の違いがよくわからない
- 現在の建設業許可に電気通信工事業を追加したい
当事務所では、広島県内の事業者様向けに、電気通信工事業の建設業許可申請のサポートを行っています。どうぞお気軽にご相談ください。
まずは、工事内容、請負金額、常勤役員等、営業所技術者等、その他現在の状況を整理・確認していきましょう。


