経営事項審査の結果通知書の見方|P点・X1・X2・Y・Z・Wの意味

経営事項審査の結果通知書が届いたら、まず「審査基準日」「審査対象業種」「業種ごとの総合評定値(P点)」を確認します。

この他にも、通知書にはX1・X2・Y・Z・Wなど数値が多く記載されています。この記事では、行政書士たつかわ事務所が、実際の記載順に沿って数値の意味や見方を解説します。

経営事項審査の結果通知書とは

建設業法では、国や地方公共団体が発注する公共工事を直接請け負う際に、建設業者は審査を必ず受けなければならない、と規定されています。この建設業者が受ける審査が経営事項審査(経審)です。広島県で公共工事を発注者から直接請け負いたいと考えたときにも、この経審を受けなければなりません。

経審を受けると、「経営規模等評価結果通知書」と「総合評定値通知書」が一体になった通知書が交付されます。この通知書には、X1・X2・Y・Z・Wという評点や、それらを組み合わせた総合評定値(P点)が記載されています。

評点によって、評価を行う機関が異なる点にも注意してください。X(経営規模)・Z(技術力)・W(社会性等)は、広島県知事などの許可行政庁が行う「経営規模等評価」の結果です。一方、Y(経営状況)は、あらかじめ登録経営状況分析機関から通知を受けた「経営状況分析」の結果が用いられます。

経審の全体像や手続きの流れ、必要書類などの基礎知識については、以下の記事で詳しく解説しています。経審を初めて受ける方や制度の仕組みを整理したい方は、ぜひこちらもご参照ください。

結果通知書で最初に確認する3か所

経営事項審査の結果通知書を受け取ったら、まず次の3か所を確認します。

審査基準日

審査基準日とは、通常、直前の事業年度終了の日、つまり決算日のことです。結果通知書が届いた日(結果通知日)や申請した日ではありませんので、混同しないよう注意してください。

有効期間の詳しい説明は、この後の「よくある質問」でご案内しています。

審査対象業種

結果通知書は、建設業の種類(業種)ごとに行が分かれて記載されています。まず、自社が申請した業種がすべて記載されているかを確認します。

なお、完成工事高がない業種であっても、許可を受けていれば申請・請求の内容によって行が掲載される場合があります。すべての許可業種が自動的に表示されるわけではないため、個別の結果を見て確認する必要があります。

業種別の総合評定値(P点)

P点は、原則として業種ごとに算出されます。同じ会社でも、業種によって完成工事高や技術職員数などが異なるため、P点も業種ごとに違う数値になります。

なお、入札参加資格の等級や参加可否は、P点だけでは決まりません。この点については、「よくある質問」で詳しく説明します。

経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書の見方

ここからは、実際の経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書を見ながら、どこに何が記載されているかを確認していきます。

経営事項審査(経審)の結果通知書のサンプル画像。
経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書
この経審の結果については、以下のサイトで直近のものを確認することができます。
一般財団法人 建設業情報管理センター【経営事項審査結果の公表】より

公共工事は、国や都道府県、市町村が税金を予算として発注を行う工事です。工事を確実に行うためには、発注者が建設会社を厳正に選定し、適切な契約と管理体制を築くことが必要です。

そのため経審では、単純な売上高や利益だけでなく、技術者の確保状況、財務状況や社会的責任への取り組みまで多角的に評価し、国や地方自治体が工事を安心して任せられる会社を選定できる仕組みになっています。

許可番号・商号・所在地

通知書の上部には、許可番号、商号(会社名)、主たる営業所の所在地といった基本情報が記載されています。商号変更、所在地変更、許可換え(大臣許可から知事許可への変更など)があった場合は、これらの表示内容が最新の状態と一致しているか、あわせて確認してください。

完成工事高と元請完成工事高

完成工事高と元請完成工事高は、業種ごとに記載されます。完成工事高はX1点、元請完成工事高はZ点の評価に用いられる数値です。

なお、どの工事をどの業種に振り分けるか、業種の判定方法については本記事では扱いません。記載された数値に疑問がある場合は、申請時に提出した申請書の控えや工事経歴書と照合して確認してください。

技術職員数

技術職員数も、業種ごとに記載されます。保有する資格の区分によって評価点が異なり、1人の技術職員が評点対象として申請できる業種数には上限があります。

資格の区分コードの詳細な一覧はここでは掲載していません。広島県が公表している経営事項審査の手引きでご確認ください。

X1・X2・Y・Z・W

各評点は、業種ごとに算出されるものと、会社全体で共通するものに分かれます。

評点主な内容業種別・共通
X1完成工事高業種別
X2自己資本額・平均利益額全業種共通
Y経営状況分析全業種共通
Z技術職員数・元請完成工事高業種別
Wその他の審査項目(社会性等)全業種共通
PX1・X2・Y・Z・Wから算出する総合評定値業種別

総合評定値(P点)

業種ごとの総合評定値P点は、発注機関が入札参加資格を審査する際の客観的評価の基礎として使用されます。

ただし、P点だけで入札参加の可否や等級が確定するわけではありません。この点は、「よくある質問」で詳しく説明します。

P点はどのように算出されるか

総合評定値(P)は、各評点を単純に合計するのではなく、あらかじめ定められた比率で加重平均して算出され、バランスよく評価する仕組みになっています。

総合評定値(P点)の算出方法は、下記の計算式で行います。

総合評定値(P点) = 0.25(X1)+0.15(X2)+0.20(Y)+0.25(Z)+0.15(W)
・最高点:2,159点
・最低点:163点(令和8年7月1日以降の申請の場合)

この式から分かるように、最も重みが大きいのは完成工事高(X1点)・技術力(Z点)で、それぞれ25%を占めています。次に大きなウエイトを持つのが経営状況(Y点)の20%で、自己資本額など(X2点)と社会性等(W点)は15%ずつとなっています。企業規模や技術力の評価が重視されている一方、P点は複数の評点を組み合わせた総合評価であるため、これらの評点だけで単純に決まるものではありません。

ここで注意したいのは、X1点とZ点が業種ごとに算出される評点であるのに対し、X2点・Y点・W点は会社全体で共通する評点だという点です。そのため総合評定値(P点)自体も、業種ごとの完成工事高や技術力の違いによって、業種ごとに異なる数値になります。

P点は一つの項目だけで左右されず、特定の項目が低くても他の項目で補うことができます。例えば、経営規模は小さくても財務内容や技術力、社会性で高得点を得れば、P点を一定以上に押し上げることができます。逆に一部に極端な低得点があるとP点を押し下げるため、バランスの取れた経営が求められます。こうした構成比率を理解することで、自社の強化ポイントが明確になり、効率的な経審対策につなげることができます。

国土交通省 経営事項審査の主な改正事項(令和8年7月1日施行)より

X1・X2・Y・Z・Wの意味

ここからは、それぞれの評点が何を評価しているのかを詳しく見ていきます。

X1:経営規模~完成工事高

X1点は、建設会社の経営規模を評価する項目です。具体的には、直前2年または3年間の完成工事高の平均値を基準に算出されます。対象となるのは建設業許可を受けている業種の工事で、元請・下請を問わず計上可能ですが、同一工事を複数業種に分けて重複計上することはできません。

総合評定値(P点)に占めるX1点の割合は25%と高い割合を占めています。X1点は業種ごとに算出される評点のため、結果通知書では、業種ごとの完成工事高とX1点をあわせて確認します。前回の結果と比較する際は、2年平均・3年平均のどちらを選択しているか、また工事高がどの業種に振り分けられているかもあわせて確認してください。

とは言え、採算度外視の完成工事高拡大路線で、仮にX1点が高得点となったとしても、利益率の悪化により他の評点が下がってしまっては元も子もありませんので、会社の経営を安定させつつ、売上高を伸ばしていけるようバランスをとっていく必要があります。

X2:経営規模~自己資本額・平均利益額

X2点は、X1点と同様に、建設会社の経営規模を評価する項目です。主な評価要素は自己資本額と平均利益額です。総合評定値(P点)に占めるX2点の割合は15%となっています。

自己資本額とは、貸借対照表の純資産の額のことです。直前決算の額か直前2年の平均額を選択して評価を受けます。

平均利益額とは、利払前税引前償却前利益のことをいい、営業利益に減価償却費を足した額となります。直前2年の平均額が評価対象となります。

X2点は、X1点とは異なり全業種共通の評点です。そのため、同じ会社の結果通知書では、どの業種にも同じX2点が反映されます。自己資本額が高く、平均利益額も安定的に高いほど、X2点は原則として高く評価される傾向にありますが、他の評点とあわせた総合評価であることに変わりはありません。

なお、自己資本額について単年決算の額を選択しているか、2年平均を選択しているかは、前回の結果と比較する際の確認事項の一つになります。

Y:経営状況分析

Y点は、登録経営状況分析機関による経営状況分析によって算出される財務指標の評価です。Y点の審査対象は以下の8項目で、いずれも決算書の数値を基に計算されます。

これらの8つの項目にはそれぞれ寄与度が設定されており、寄与度の高い項目から対策していくことが、Y点で高得点を得るポイントとなります。

手続としては、経審を受ける前に、登録経営状況分析機関で経営状況分析の結果通知を取得しておく必要があります。

負債抵抗力純支払利息比率
負債回転期間
収益性・効率性総資本売上総利益率
売上高経常利益率
財務健全性自己資本対固定資産比率
自己資本比率
絶対的力量営業キャッシュフロー
利益剰余金

Y点は、X2点と同じく全業種共通の評点です。結果通知書では、どの業種にも同じY点が反映されます。また、経営状況分析結果通知書に記載されたY点と、結果通知書上のY点が一致しているかもあわせて確認できます。

これら8つの指標は、それぞれ定められた算式にもとづいて総合的に評価され、財務の健全性が点数化されます。単一の決算数値だけで高得点・低得点が決まるものではなく、8指標のバランスによって結果が変わる点に注意してください。

Z:技術職員数・元請完成工事高

Z点は、企業に在籍している技術職員数と元請完成工事高の2つが主な評価要素となっていいます。総合評定値(P点)に占めるZ点の割合は25%です。

技術職員数については、審査基準日時点で6ヶ月を超える期間、会社に在籍している技術者の人数と、その技術者が保有している資格に応じて加点されます。ただし、1人の技術者が複数の資格を保有している場合には、同一の技術者が加点できる業種は2業種までとなっています。

元請完成工事高については、工事種類別の完成工事高のうち、元請工事の部分が評価の対象となります。

Z点はX1点と同じく、業種ごとに算出される評点です。結果通知書では、業種ごとの欄で技術職員数を確認します。前回の結果からZ点が変動している場合は、技術職員の資格区分や在籍期間、申請対象業種、元請完成工事高に変化がないかを確認してください。

このように、Z点は、資格を保有している技術者の人数が多いほど、また元請としての工事実績が豊富なほど高得点になりやすい項目となっています。

W:その他の審査項目(社会性等)

W点は、企業の担い手確保や営業継続、防災活動、法令遵守、経理体制、研究開発、建設機械の保有状況、認証・登録の状況などを評価する、全業種共通の評点です。総合評定値(P点)に占めるW点の割合は15%です。

2026年7月の改正により、雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入の有無という評価項目は廃止されています。また、新たに「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無が評価対象に加わりました。これらの改正を反映した、現在の評価区分は次のとおりです。

区分主な内容
建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況建設業退職金共済制度・企業年金制度・法定外労働災害補償制度の加入状況、若年技術職員の育成・確保、CPD単位取得数、女性活躍推進法等の認定状況、CCUSによる就業履歴蓄積措置の実施状況、自主宣言制度の宣言の有無 など
建設業の営業継続の状況営業年数、民事再生法又は会社更生法の適用の有無
防災活動への貢献の状況防災協定の締結の有無
法令遵守の状況営業停止処分の有無、指示処分の有無
建設業の経理の状況監査の受審状況、公認会計士等の数、二級登録経理試験合格者の数
研究開発の状況研究開発費(2期平均)
建設機械の保有状況建設機械の所有及びリース台数
国又は国際標準化機構が定めた規格による認証又は登録の状況ISO9001の登録の有無、ISO14001の登録の有無

結果通知書を確認する際は、自社で該当する加点項目が、申請内容にきちんと反映されているかを確認することが実務上のポイントになります。各項目の詳しい加点要件は、広島県が公表している最新の経営事項審査の手引きでご確認ください。

⇒ 広島県 経営事項審査の手引き(令和8年7月)

前回の結果通知書と比較するときの見方

前回の結果通知書をお持ちの場合は、次の順番で比較すると、点数が変動した理由を把握しやすくなります。

  1. 審査基準日を確認して、今回と前回の結果通知書を準備する
  2. 審査対象業種が前回と同じかどうか確認する
  3. 業種別のP点がどの程度変わったか確認する

ここまでで、比較の前提条件(基準日・対象業種)が揃っているかを確認できます。前提条件が異なっていると、以降の評点をそのまま単純比較できないことがあるため、先に確認しておくようにしましょう。

続いて、評点ごとに具体的な確認ポイントを見ていきます。

評点主に確認する内容変動する主な要因
X1業種別完成工事高、2年平均・3年平均の選択工事高の業種間の振り分け方、平均年数の選択の変更、対象工事の増減
Z技術職員の在籍・資格区分、元請完成工事高技術職員の入退社、資格の新規取得、元請案件の増減
X2自己資本額、平均利益額、選択した計算方法決算内容の変化、単年・2年平均の選択の変更
Y経営状況分析結果通知書、決算数値8指標のうち寄与度の高い項目の変動
W加点項目の反映状況、営業年数、建設機械、認証・登録等加点項目の新規取得・失効、営業年数の増加

X1・Zは業種ごとに、X2・Y・Wは全業種共通で反映されるため、業種によって変動の見え方が異なる点にも注意してください。

なお、点数が下がったからといって、それが必ずしも申請上のミスを意味するわけではありません。決算数値、完成工事高、技術職員の状況、制度改正など、さまざまな要因で変動します。数値に疑問がある場合は、結果通知書だけでなく、申請書の控え、経営状況分析結果通知書、工事経歴書などもあわせて確認することをおすすめします。

経審結果を確認するときのよくある質問

Q
総合評定値(P点)はどのくらいあれば入札に参加できますか?
A

P点に全国一律の合格点はありません。入札参加資格の要件、等級区分、参加できる工事の範囲は、発注機関や工事業種によって異なります。経審のP点だけでなく、発注機関独自の評価、施工実績、技術者要件等が加味される場合があるため、参加を希望する発注機関の資格要件を個別に確認する必要があります。

Q
P点は業種ごとに違いますか?
A

はい。X1とZは業種別に評価されるため、総合評定値(P点)も業種ごとに異なります。一方、X2、Y、Wは会社全体に共通する評点です。同じ会社でも、完成工事高や技術職員数、元請完成工事高の違いにより、業種ごとのP点に差が生じます。

Q
X1・X2・Y・Z・Wのうち、どの項目が重要ですか?
A

算式上のウエイトは、X1とZが各25%、Yが20%、X2とWが各15%です。ただし、どの項目を優先して確認すべきかは会社ごとに異なります。前回結果との比較、決算内容、完成工事高、技術職員、加点項目等を確認し、改善可能な項目を個別に検討する必要があります。

Q
経審結果はインターネットで確認できますか?
A

一般財団法人建設業情報管理センターの「経営事項審査結果の公表」で、直近の経審結果を検索できます。ただし、申請直後の結果が直ちに掲載されるとは限らず、過去のすべての結果を自由に確認できるものでもありません。正式な内容は、会社へ交付された結果通知書で確認してください。
⇒ 一般財団法人 建設業情報管理センター【経営事項審査結果の公表】より

Q
建設業の許可が失効すると、経営事項審査の結果はどうなりますか?
A

経営事項審査の申請時に受けていた建設業の許可が、すべて効力を失った場合、それまで受けていた経審の結果通知の効力も失われたものとみなされます。ただし、許可換え新規(大臣許可から知事許可への変更等)の場合は、経審を再度申請し直す必要はありません。

Q
経営事項審査(経審)は毎年受ける必要がありますか?
A

公共工事の入札参加資格を継続して維持したい場合は、毎年受審するのが一般的です。経審の有効期間は審査基準日から1年7か月ですが、有効期限が切れると公共工事の入札に参加できなくなるため、決算終了後は速やかに決算変更届を提出し、次回の経営事項審査を申請することが重要です。

まとめ

経営事項審査の結果通知書が届いたら、まず審査基準日、審査対象業種、業種ごとの総合評定値(P点)を確認します。そのうえで、前回結果とX1・X2・Y・Z・Wを比較すると、点数が変動した主な要因を把握しやすくなります。

ただし、P点だけで入札参加資格の可否や等級が決まるわけではありません。参加を希望する発注機関の資格要件とあわせて確認する必要があります。

広島県で、経営事項審査の結果通知書の確認、次回の経審申請、点数に反映できる項目の確認をご希望の場合は、行政書士たつかわ事務所へご相談ください。

この記事を書いた人
行政書士 達川 尚史

行政書士たつかわ事務所 代表行政書士の達川尚史です。広島市を拠点に、広島県内の建設業者様を対象として、建設業許可申請、決算変更届、経営事項審査、入札参加資格申請、建設キャリアアップシステム(CCUS)登録申請を中心にサポートしています。

また、外国人材の受け入れを検討している建設業者様、すでに外国人材を受け入れている建設業者様に向けて、特定技能、育成就労、技術・人文知識・国際業務ビザなどの在留資格手続きにも対応し、広島の建設業者様を、許認可手続きと外国人受け入れの両面から支援しています。

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経営事項審査・入札参加資格