事業専従者・親族従業員でも経管になれる?個人事業の補佐経験等で建設業許可を取得するポイント

当事務所は、建設業許可、経営事項審査といった建設業関連手続きのサポートを専門とする行政書士事務所です。初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。広島県広島市を中心に、広島県全域からのご相談に対応しています。

年末から年度末にかけては、新規の建設業許可申請のご相談が増える時期ではないかと思います。その中で、親族(父・母・配偶者など)が営む個人事業の建設業を手伝ってきた方から、次のようなご相談がよくあります。

  • 「親族の個人事業(建設業)を実質的に運営してきた。今後は独立して、自分を経営業務の管理責任者として申請できますか?」
  • 「取締役のうち1名は、配偶者が営む個人事業において事業専従者として従事し、経営業務の管理責任者を補佐してきた経験があります。この経験を用いて、経管として申請可能でしょうか?」
  • 「過去に、父の個人事業(建設会社)で現場も受注も資金繰りも行ってきた経験があります。この経験は、経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験として認められますか?」

ご相談の趣旨は、お父様(またはご主人)の個人事業を補佐したご経験をもとに、経営業務の管理責任者(経管)候補者様として認定を受けられるか、という点にあります。

やりたいことが「許可の引継ぎ」なのか「新規許可(または変更)」なのかで、検討内容が異なってきますが、本記事では「新規許可(または変更)」のお話を前提に解説したいと思います。

※原則として、個人事業主の建設業許可は一代限りとなり、ご子息・ご親族に引き継ぐことはできません。

経営業務の管理責任者の要件全般については、以下の記事で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

経営業務の管理責任者の要件について

お父様(またはご主人)の個人事業を補佐したご経験を用いて経管になるためには、建設業法第七条第一号~建設業法施行規則第七条第一号イ(1)~(3)のいずれかを満たす必要があります。

このようなご相談はどの条文に該当するケースなのでしょうか?条文を確認してみましょう。

建設業法

(許可の基準)
第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

一 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。(以下省略)

                    引用元:建設業法|e-Gov法令検索

建設業法施行規則

(法第七条第一号の基準)
第七条 法第七条第一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 次のいずれかに該当するものであること。
イ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
(1) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
(3) 建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者

ロ (省略)
ハ (省略)
                引用元:建設業法施行規則|e-Gov法令検索

今回のように、親族等が営む個人事業の建設業を実質的に補佐してきた経験は、建設業法施行規則第七条第一号イ(3)に該当するものとして整理できます。

もっとも、この類型で建設業許可申請を行う場合、許可要件の充足を「条文上の整理」だけで終わらせず、申請先が求める立証レベルに耐える形で「実務上の説明・証明」を組み立てる必要があります。

特に重要となる要点は、①一号イ本文の「常勤役員等」、②一号イ(3)の「経営業務の管理責任者に準ずる地位」、③同じく一号イ(3)の「経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験」の3点です。

押さえるべき3つの判断ポイント

具体的には、まず①「常勤役員等」としての位置付け(常勤性・役員等としての就任状況)を前提として、過去に②「準ずる地位」にあったこと(単なる手伝い・補助ではなく、建設業部門の経営判断や業務執行に実質的に関与できる立場であったこと)を、組織・権限・役割の観点から説明します。そして、その上で③「補佐業務の経験」について、従事期間(年数)だけでなく、実際に担っていた業務内容が「経営業務の管理責任者を補佐する業務「に当たることを、具体的な職務内容・意思決定プロセス・対外的な対応実績等に即して整理し、客観資料の積み上げで立証していくことになります。

申請時に「常勤役員等」になっているか?

まず、経営業務の管理責任者と認められるためには、経管候補者が申請時に「常勤役員等」の地位にあることが前提となっています。

常勤役員等のうち1人が、建設業法施行規則第七条第一号イ(1)~(3)のいずれかに該当する者であれば、その者は経営業務の管理責任者の要件を満たすことになります。

この「常勤役員等」の範囲や考え方については、建設業許可事務ガイドラインにおいて確認することができます。

建設業許可事務ガイドライン【第7条関係】
1.経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であることについて(第1号)
(1)適正な経営体制について(規則第7条第1号)
① 「常勤役員等」とは、法人である場合においてはその役員のうち常勤であるもの、個人である場合にはその者又はその支配人をいう。「役員」とは、業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。なお、「業務を執行する社員」とは、持分会社の業務を執行する社員をいい、「取締役」とは、株式会社の取締役をいい、「執行役」とは、指名委員会等設置会社の執行役をいう。また、「これらに準ずる者」とは、法人格のある各種組合等の理事等をいう。

実務上は、経営業務の管理責任者(経管)について、取締役(法人)や個人事業主(個人)としての地位にある方を候補者として申請するケースが多いのではないでしょうか。

過去に「経営業務の管理責任者に準ずる地位」に就いていたか?

次に、過去の経験に関する要件、建設業法施行規則第七条第一号イ(3)について、条文をもう一度確認してみましょう。

建設業法施行規則

(法第七条第一号の基準)
第七条 法第七条第一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 次のいずれかに該当するものであること。
イ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
(1)(省略)
(2)(省略)
(3)建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
                引用元:建設業法施行規則|e-Gov法令検索

「経営業務の管理責任者に準ずる地位」にあったこと、「経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験」についても、その範囲や内容を建設業許可事務ガイドラインで確認することができます。

建設業許可事務ガイドライン【第7条関係】
1.経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であることについて(第1号)
(1)適正な経営体制について(規則第7条第1号)
経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験について
経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験(以下「補佐経験」という。)とは、経営業務の管理責任者に準ずる地位(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある各種組合等の理事等、個人の事業主又は支配人その他支店長、営業所長等、営業取引上対外的に責任を有する地位に次ぐ職制上の地位にある者)にあって、建設業に関する建設工事の施工に必要とされる資金の調達、技術者及び技能者の配置、下請業者との契約の締結等の経営業務全般について、従事した経験をいう。

規則第7条第1号イ(2)と、今回のケースの規則第7条第1号イ(3)における「経営業務の管理責任者に準ずる地位」の大きな違いは、(3)のほうが適用場面が広い点にあります。

すなわち、(2)が取締役会設置会社における執行役員等への権限委譲(取締役と同等の業務執行権限が与えられていること)を前提とするのに対し、(3)では必ずしもそのようなケースに限られず、その他の形態であっても「経営業務の管理責任者に準ずる地位」と評価できる場合がある、という点です。

例えば、個人事業においては事業専従者、法人においては部長職などが、当該地位として想定されます。

過去に「経管を補佐する業務」を6年以上経験しているか?

ガイドラインによると、「経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験」とは、建設業に関する建設工事の施工に必要とされる資金の調達、技術者及び技能者の配置、下請業者との契約の締結等の経営業務全般について、従事した経験をいう」、とあります。

また、補佐経験は取締役としての経験ではなく、あくまで従業員としての経験に該当するため、公的な証明書類だけで立証することは困難です。

そのため、過去に準ずる地位にあったことや、その上で補佐経験が6年以上あることについて、社内資料を積み上げて裏付けていく必要があります。ただし、経管候補者が当時どのような地位にあり、どのような業務に従事していたのかを説明できるよう、過去の社内資料を整理・整備する作業は、非常に大きな負担となります。この点が、本件で最も重要なポイントになります。

行政庁への事前相談・個別認定について

まとめますと、親族の個人事業を手伝った経験等で「経管」になるためには、経管候補者が次の要件を満たしていることを、過去の社内書類で証明していくことになります。

  • 申請時に常勤役員等であること
  • 建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にあったこと
  • 上記の地位で6年以上、経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事したこと

ただ、広島県の手引きを確認しても、具体的にどのような手順で進めればよいのか、また、どのような書類を準備すべきか判然としません。

一方で、中国地方整備局の手引きには、事前相談を行うよう注意書きがあるため、広島県知事許可の場合であっても、あらかじめ窓口へ事前相談のうえ、必要に応じて個別の認定を受けてから申請手続きに進むことを推奨いたします。

よくある質問

Q
親族の個人事業(建設業)を手伝った経験で、経営業務の管理責任者(経管)として申請できますか
A

可能性はあります。典型的には、建設業法施行規則 第7条第1号イ(3)の「準ずる地位で、6年以上、経管を補佐する業務に従事した経験」に当たるかが焦点になります。最終判断は許可行政庁ごとの運用により、事前相談や追加資料を求められるケースが多い点に注意が必要です。

Q
「準ずる地位(経営業務の管理責任者に準ずる地位)」とは、具体的にどんな立場ですか?
A

ガイドライン上は、役員等・事業主や支配人・支店長・営業所長などのほか、「営業取引上対外的に責任を有する地位に次ぐ職制上の地位」が想定されています。個人事業でも「何となく手伝った」では足りず、立場(権限・責任)を説明できることが重要です。

Q
事業専従者(親族従業員)でも「準ずる地位」になり得ますか?
A

自動的に認められるわけではありませんが、実態として経営業務の中核を担い、対外的責任に次ぐ職制上の地位であったことを、資料で具体化できるなら検討対象になり得ます。ポイントは「肩書」よりも、権限・責任・業務範囲を示せるかどうかです。

Q
「経管を補佐する業務」とは、具体的にどんな業務ですか?
A

ガイドラインでは例として、資金の調達、技術者・技能者の配置、下請契約の締結など、建設業の経営業務全般に関する実務が挙げられています。現場作業中心の経験だけだと、この要件との関係で説明が難しくなることがあります。

Q
親族の個人事業の期間が長いのですが、「現場経験が長い」だけで補佐経験として認められますか?
A

一般的に、現場経験が長いこと自体は強みですが、補佐経験で問われるのは経営業務(資金・人員配置・契約等)にどこまで関与したかです。現場中心の場合は、経営面の関与を裏付ける資料・説明がないと厳しくなりがちです。

まとめ

親族が営む個人事業のもとで、経管を補佐(補助)してきた経験を使って、常勤役員等(経管)として申請するケースは、通常の申請とは異なり、事前協議や追加資料の準備が必要になることが多くなり、必然的に難易度も高くなります。

さらに、「準ずる地位で経管を補佐(補助)した経験」としての認定自体も、行政庁によっては運用上かなり厳しく、認定される場面は限定的です。

当事務所では、勤務実態(担当業務、権限、体制、資金管理など)を踏まえてポイントを整理し、行政庁と慎重に事前協議を行ったうえで、要件確認から書類収集、申請書作成、提出代行まで、申請手続をトータルでサポートしています。

親族の個人事業での補佐経験を活かして建設業許可の取得を目指すご子息等ご親族の方は、どうぞお気軽にご相談ください。

当事務所では、広島市を中心に広島県内全域で建設業許可の各種手続きや経審(経営事項審査)申請のサポートを行っております。要件を満たせるか不安な方や、建設業許可・経審に関する疑問点がございましたら、お気軽にご相談ください。初回相談は無料で承っておりますので、まずは現状の一緒に確認し、一歩一歩確実に手続きを進めてまいりましょう。