執行役員は経営業務の管理責任者(経管)になれる?常勤役員等・準ずる地位を解説

執行役員は経営業務の管理責任者になれるのか?②|必要書類と証明のポイントについて
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建設業許可を取得する際の、「執行役員として建設業の経営を担っている人を経管として申請することはできないか?」「過去の執行役員としての経験を使って経管になることはできるのか?」といったご相談や疑問点は少なくありません。

結論として、一定の要件を満たす場合には、執行役員の地位であっても経営業務の管理責任者として認められる可能性もあります。また、過去に執行役員として従事していた期間の経験を、経営経験として使えるケースもあります。

本記事では、そのような場合にどのような書類が必要になるのかという部分を中心に、ポイントを押さえて分かりやすく解説します。

執行役員が経営業務の管理責任者(経管)になれるのか、常勤役員等や準ずる地位との関係については、以下の記事で詳しく解説しています。

また、経営業務の管理責任者の要件全般については、以下の記事をご参照ください。

執行役員を常勤役員等として申請する際の証明資料

執行役員の地位で、経営業務の管理責任者と認められるためには、「常勤役員等」の「これらに準ずる者」であることを証明する必要があります。

取締役であれば、登記されているため、会社の履歴事項全部証明書などで、簡単にその地位や権限を確認することができます。しかし、執行役員や「これらに準ずる者」は登記されていないため、その証明には、地位や権限を客観的に証明するための資料が必要となります。

ここで、建設業許可事務ガイドラインを確認してみましょう。

建設業許可事務ガイドライン【第7条関係】
1.経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であることについて(第1号)
(1)適正な経営体制について(規則第7条第1号)
① 「常勤役員等」とは、法人である場合においてはその役員のうち常勤であるもの、個人である場合にはその者又はその支配人をいう。
 「役員」とは、業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。
 なお、「業務を執行する社員」とは、持分会社の業務を執行する社員をいい、「取締役」とは、株式会社の取締役をいい、「執行役」とは、指名委員会等設置会社の執行役をいう。また、「これらに準ずる者」とは、法人格のある各種組合等の理事等をいう。

 執行役員、監査役、会計参与、監事及び事務局長等については、原則として「役員」には含まれないが、業務を執行する社員、取締役又は執行役に準ずる地位にあって、建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受けた執行役員等(建設業に関する事業の一部のみ分掌する事業部門(例えば、建築部門・土木部門の両方を有する会社において建築部門のみを分掌する場合など一部の営業分野のみを分掌する場合や、資金・資材調達のみを分掌する場合等)の業務執行に係る権限移譲を受けた執行役員等を除く。以下同じ。)については、「これらに準ずる者」として含まれるものとする。
 当該執行役員等が、「これらに準ずる者」に該当するか否かの判断に当たっては、規則別記様式第七号等に加え、次に掲げる書類により確認するものとする。
・執行役員等の地位が業務を執行する社員、取締役又は執行役に次ぐ職制上の地位にあることを確認するための書類(組織図その他これに準ずる書類)
・業務執行を行う特定の事業部門が建設業に関する事業部門であることを確認するための書類(業務分掌規程その他これに準ずる書類)
・取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任され、かつ、取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って、特定の事業部門に関して、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念する者であることを確認するための書類(定款、執行役員規程、執行役員職務分掌規程、取締役会規則、取締役就業規程、取締役会の議事録その他これらに準ずる書類)

上記ガイドラインのアンダーライン部以降に、下表のような、執行役員が「常勤役員等」の「これらに準ずる者」であることを証明するための書類についての記載があります。

項目証明資料
執行役員等の地位が業務を執行する社員、取締役又は執行役に次ぐ職制上の地位にあることを確認するための書類・組織図
・その他これに準ずる書類
業務執行を行う特定の事業部門が建設業に関する事業部門であることを確認するための書類・業務分掌規程
・その他これに準ずる書類
取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任され、かつ、取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って、特定の事業部門に関して、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念する者であることを確認するための書類・定款
・執行役員規程
・執行役員職務分掌規程
・取締役会規則
・取締役就業規程
・取締役会の議事録
・その他これらに準ずる書類

このような「これらに準ずる者」に関する証明書類については、申請窓口ごとに運用上のローカルルールが設けられている場合があります。いきなり本申請するのではなく、一度、事前相談を行うことをお勧めします。

執行役員の経験を経管要件として使用する際の証明資料

過去の執行役員としての経験を使って経管になるためには、「準ずる地位にある者」であることを証明する必要があります。

この場合も、執行役員や「準ずる地位にある者」は登記されていないため、その経験や権限を客観的に証明するための資料が必要となります。

もう一度、建設業許可事務ガイドラインを確認してみましょう。

建設業許可事務ガイドライン【第7条関係】
1.経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であることについて(第1号)
(1)適正な経営体制について(規則第7条第1号)
⑥「経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験」(以下「執行役員等としての経験」という。)とは、取締役会設置会社において、取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任され、かつ、取締役会によって定められた業務執行方針に従って、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念した経験をいう。
イ 建設業に関する執行役員等としての経験の期間と、建設業における経営業務の管理責任者としての経験の期間とが通算5年以上である場合も、規則第7条第1号イ(2)に該当するものとする。
ロ 同号イ(2)に該当するか否かの判断に当たっては、規則別記様式第七号及び別紙6-1による認定調書に加え、次に掲げる書類において、被認定者が同号イに掲げる条件に該当することが明らかになっていることを確認するものとする。
・執行役員等の地位が業務を執行する社員、取締役又は執行役に次ぐ職制上の地位にあることを確認するための書類(組織図その他これに準ずる書類)
・業務執行を行う特定の事業部門が建設業に関する事業部門であることを確認するための書類(業務分掌規程その他これに準ずる書類)
・取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任され、かつ、取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って、特定の事業部門に関して、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念する者であることを確認するための書類(定款、執行役員規程、執行役員職務分掌規程、取締役会規則、取締役就業規程、取締役会の議事録その他これらに準ずる書類)
・執行役員等としての経験の期間を確認するための書類(取締役会の議事録、人事発令書その他これに準ずる書類)

上記ガイドラインのアンダーライン部以降に、下表のような、執行役員が「準ずる地位にある者」であることを証明するための書類についての記載があります。

どのような資料が必要になるのかを整理すると、以下のようになります。

項目証明資料
執行役員等の地位が業務を執行する社員、取締役又は執行役に次ぐ職制上の地位にあることを確認するための書類・組織図
・その他これに準ずる書類
業務執行を行う特定の事業部門が建設業に関する事業部門であることを確認するための書類・業務分掌規程
・その他これに準ずる書類
取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任され、かつ、取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って、特定の事業部門に関して、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念する者であることを確認するための書類・定款
・執行役員規程
・執行役員職務分掌規程
・取締役会規則
・取締役就業規程
・取締役会の議事録
・その他これらに準ずる書類
執行役員等としての経験の期間を確認するための書類・取締役会の議事録
・人事発令書
・その他これに準ずる書類

実際には、これらの資料をすべて提出するとは限りません。
会社の組織体制や申請窓口によって必要資料が異なる場合があります。

また、過去の執行役員経験を利用する場合は、組織図や取締役会議事録、人事発令書などの資料を収集しなければならず、要件を証明する難易度が高くなる傾向があります。

そのため、申請が可能かどうかについては、事前相談の段階で一度確認しておくことをお勧めします。

よくある質問

Q
執行役員としての経験と、経営業務の管理責任者としての経験は通算できますか?
A

はい。執行役員等としての期間と、経営業務の管理責任者としての期間を合算して5年以上あれば要件を満たす場合があります。

ただし、単に執行役員であったという肩書のほか、「権限委譲を受け、建設業の経営業務を実際に管理していたこと」を証明する書類が必要となります。証明資料の収集や評価方法は窓口ごとに運用差があるため、事前相談での確認が重要です。

Q
執行役員で経管になる場合や、執行役員としての経験を使う場合、会社は「取締役会設置会社」である必要がありますか?
A

はい、原則として必要です。

ガイドライン上、取締役会設置会社であることが前提とされています。したがって、取締役会が設置されていない会社や代表取締役の決裁のみで権限付与されているケースなどは、「これらに準ずる者」「準ずる地位にある者」と認められない可能性が高くなります。

詳しくは、執行役員が経管として認められる要件について解説した以下の記事もご参照ください。

Q
組織図が残っていない場合でも申請できますか?
A

必ずしも組織図が必要というわけではありません。

建設業許可事務ガイドラインでは「組織図その他これに準ずる書類」とされており、申請窓口によっては他の資料で代替できる場合もあります。

ただし、執行役員等の地位が取締役等に次ぐ職制上の地位であったことを客観的に証明する必要がありますので、事前相談で確認することをお勧めします。

Q
執行役員規程がない場合でも申請できますか?
A

執行役員規程が存在しない場合でも、直ちに申請できなくなるわけではありません。

実際の審査では、取締役会議事録や職務分掌規程、人事発令書などを含めて総合的に判断されます。

ただし、権限委譲の内容を証明する資料が不足している場合は、要件を満たしていることの立証が難しくなる可能性があります。

Q
退職した会社での執行役員経験を利用することはできますか?
A

利用できる可能性があります。

ただし、過去の執行役員経験を経管要件として使用する場合は、当時の組織図や取締役会議事録、人事発令書などの資料を収集する必要があります。

退職から長期間経過している場合は資料の入手が難しくなることもあるため、早めに確認することをお勧めします。

執行役員の経管申請は事前相談をおすすめします

執行役員を経営業務の管理責任者(経管)として申請する場合や、過去の執行役員経験を経管要件として利用する場合は、一般的な経管申請と比較して確認事項が多くなる傾向があります。

建設業許可事務ガイドラインには必要な証明資料が示されていますが、実際の運用については申請窓口ごとに取扱いが異なる場合があります。

また、会社の組織体制や規程の内容によって必要となる資料も異なるため、「どの書類を準備すればよいのか」「現在保有している資料で足りるのか」を事前に確認しておくことが重要です。

特に、過去の執行役員経験を利用する場合は、組織図や取締役会議事録、人事発令書などの資料収集に時間を要することもあります。

そのため、申請準備を始める前に、行政庁や専門家へ事前相談を行うことをお勧めします。

まとめ

繰り返しになりますが、執行役員として経管に就任する場合の証明書類や、執行役員としての経験を用いて経管要件を満たすことを証明する書類については、会社ごとに組織や規程の内容が大きく異なります。また、申請窓口ごとに取扱いが異なる場合もありますので、事前相談で確認しておくことをお勧めします。

当事務所では、広島市を中心に広島県内全域で建設業許可の各種手続きや経審(経営事項審査)申請のサポートを行っております。建設業許可・経審に関する疑問点がございましたら、お気軽にご相談ください。初回相談は無料で承っておりますので、まずは現状の確認から一緒に進めてまいりましょう。

この記事を書いた人
行政書士 達川 尚史

行政書士たつかわ事務所 代表行政書士の達川尚史です。広島市を拠点に、広島県内の建設業者様を対象として、建設業許可申請、更新・業種追加、決算変更届、経営事項審査、入札参加資格申請、建設キャリアアップシステム(CCUS)登録申請を中心にサポートしています。

また、外国人材の受け入れを検討している建設業者様、すでに外国人材を受け入れている建設業者様に向けて、特定技能、育成就労、技術・人文知識・国際業務ビザなどの在留資格手続きにも対応し、広島の建設業者様を、許認可手続きと外国人受け入れの両面から支援しています。

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