
建設工事が「軽微な建設工事」に該当する場合には、建設業許可は必要ないことは以前の記事でご説明させていただきました。
例えば、ある下請業者さんが受注した建設工事の請負金額が330万円だったとします。
下請業者さんは、この建設工事は「軽微な建設工事」に該当するので、建設業許可は必要ないと思っています。
・・・果たして、本当にそうなのでしょうか???
建設業法上、請負金額に含めて考えるべき項目

(法第三条第一項ただし書の軽微な建設工事)
第1条の2
(中略)
3 注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。
引用元:建設業法施行令|e-Gov法令検索
建設業許可が必要かどうかは、「工事の請負金額」が軽微な建設工事を超えるかどうかで判断します。ただし、その金額は注文書や契約書に書かれた金額だけを見ればよいというものではありません。
たとえば、工事に使用する材料を注文者が自ら調達して支給する場合、その材料費も請負金額に含めて考えなければなりません。材料費は、実際の仕入れ価格ではなく市場価格で算定します。さらに、その材料を運搬する際にかかった運送費なども、工事の請負金額に含まれる扱いとなります。
管工事における、「〇〇」は請負金額に含める?
管工事で、GHP(ガスヒートポンプ)の設置及び配管工事一式を請け負ったとします。GHPの室内ユニットや室外ユニット一式を元請業者が調達し、下請業者にその設置工事及び配管工事を発注するような場合、下請業者の請負金額にGHPの金額を含めて判断することになるのでしょうか?
この場合、下請業者の工事の請負金額に、GHPの金額を含めて判断することになります。GHPの金額を含めて、工事の請負代金が500万円以上となるのであれば、下請業者は管工事業の許可が必要です。
機械器具設置工事における、「〇〇」は請負金額に含める?
機械器具設置工事で、非常用発電機(LPG燃料)の設置工事を請け負ったとします。非常用発電機を元請業者が調達し、下請業者にその設置工事を発注するような場合(話がややこしくなるため、燃料配管工事、電気工事は他の下請業者に発注するとします。)、下請業者の請負金額に非常用発電機の金額を含めて判断することになるのでしょうか?
この場合、下請業者の工事の請負金額に、非常用発電機の金額を含めて判断することになります。非常用発電機の金額を含めて、工事の請負代金が500万円以上となるのであれば、下請業者は機械器具設置工事業の許可が必要です。
※LPG燃料の非常用発電機設置工事は、内燃力発電設備工事として機械器具設置工事業が必要です。(但し、各自治体の運用を要確認。)
※建設工事の詳細については、広島県の建設業許可の手引き等をご参照ください。
よくあるご質問
- Q建設工事の請負金額が500万円未満の場合、建設業許可は不要ですか?
- A
いいえ、必ずしも不要とは限りません。建設業法では「軽微な建設工事」に該当する場合のみ許可が不要ですが、判断基準は契約書に書かれた金額だけではありません。発注者が提供した材料の市場価格や運送費も請負金額に含めて計算する必要があります。
まとめ

元請業者さんが材料を現場に支給したときは、支給された材料の市場価格(+運送料)を下請業者さんの建設工事請負金額に含めて計算し、その合計が「軽微な建設工事」の範囲を超えると、下請業者さんは建設業の許可が必要になります。
下請業者の皆さまは、受注の機会を逃さないために、あらかじめ建設業許可の取得準備を進めておきましょう。
今回の記事はここまでとなります。
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