
広島県内で解体工事業を営んでいる事業者様の中には、これまで解体工事業登録で工事を請け負ってきたものの、工事金額の増加や元請会社からの要請を受け、建設業許可の取得を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
解体工事業登録だけでは、1件の請負代金が税込500万円以上となる解体工事を請け負うことはできません。また、建設業許可を取得するには、常勤役員等の経営経験、営業所技術者等の資格・実務経験、財産的基礎、社会保険への加入状況など、複数の要件を満たす必要があります。
さらに、解体工事業登録が自動的に建設業許可へ切り替わる制度はないため、建設業許可を別途申請し、許可取得後には登録に関する届出も行わなければなりません。
この記事では、広島で解体工事業の建設業許可を取得するための要件、必要書類、申請手順、解体工事業登録を受けている場合の注意点について、行政書士が順を追って解説します。
解体工事業とは
解体工事業とは、建築物やその他の工作物を除却する工事を請け負う事業のことです。木造住宅、鉄骨造建築物、鉄筋コンクリート造建築物などの解体工事が代表例として挙げられます。なお、内装のみの撤去や、特定の設備・工作物だけを撤去する工事は、工事内容によって別の許可業種に該当する場合があります。
解体工事は建設業法上、29ある建設業許可の業種のうちの一つである「解体工事業」に分類されています。かつては「とび・土工工事業」の許可で解体工事を請け負うことができましたが、平成28年6月の建設業法改正により解体工事業が独立した業種として新設され、経過措置期間の終了後は解体工事業に該当する工事を請け負うには、原則として解体工事業の建設業許可(または登録)が必要となりました。
広島で単独の解体工事を請け負う場合、工事1件の請負代金が税込500万円以上となるときは、原則として解体工事業の建設業許可が必要です。建築一式工事以外の建設工事では、税込500万円未満の工事が「軽微な建設工事」とされているため、500万円ちょうどの工事にも建設業許可が必要となります。
広島で解体工事業の建設業許可が必要になるケース
解体工事業登録は、土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれの建設業許可も受けていない事業者が、解体工事業を営む場合に必要となる都道府県知事の登録です。
ただし、解体工事業登録だけで税込500万円以上の単独の解体工事を請け負うことはできません。受注規模の拡大などによって1件の請負代金が税込500万円以上となる場合は、解体工事業の建設業許可を取得する必要があります。
- 税込500万円以上の解体工事を受注したい
建設業法では、500万円以上の解体工事を請け負うには建設業許可(解体工事業)が必要です。登録だけでは対応できません。 - 公共工事に参入したい
公共工事を発注者から直接請け負うためには、建設業許可に加えて、原則として経営事項審査を受け、発注機関ごとの入札参加資格審査を受ける必要があります。 - 元請会社から「許可番号を教えてほしい」と言われた
元請会社の取引条件として許可取得を求められる場合があります。
このように、受注予定の解体工事が500万円以上になる場合や、元請会社から許可取得を求められた場合には、建設業許可の取得を検討することになります。
広島県への解体工事業登録の申請手続きにつきましては、以下のページで解説しています。
「登録から許可への切り替え」の制度は存在しない
ここで多くの方が誤解しやすい点をお伝えします。
解体工事業登録を建設業許可に「変更」や「切り替え」する制度はありません。
「登録をアップグレードする」というイメージを持たれる方もいますが、両者はまったく別の法律に基づく制度です。正しい対応は以下のとおりです。
解体工事業登録を行い、営業を開始する
⇒ 受注規模の拡大などに伴い、建設業許可の要件を確認する
⇒ 建設業許可の新規申請または業種追加申請を行う
⇒ 解体工事業の建設業許可を取得する
⇒ 許可取得日から30日以内に、登録を行った都道府県へ「建設業許可に関する届出書」と建設業許可通知書の写しを提出する
この順番を守ることが非常に重要です(詳しくは後述)。
建設業許可(解体工事業)を取得するための要件
建設業許可を取得できるかどうかは、以下の要件をすべて満たせるかにかかっています。(広島県知事・一般建設業の場合)
① 常勤役員等(経営業務の管理責任者・経管)の要件
建設業許可を受けるには、建設業の経営業務を適正に管理できる体制を備える必要があります。代表的な要件は、法人では常勤の役員のうち1人、個人事業では本人または支配人のうち1人が、建設業に関して5年以上、役員や個人事業主などとして経営業務を管理した経験があることです。
これ以外にも補佐経験等を用いる要件がありますが、必要な経験年数や補佐者の配置条件が異なるため、個別に確認する必要があります。
② 営業所技術者等(旧:専任技術者)の要件
建設業許可では、各営業所に解体工事業の営業所技術者を1名以上配置しなければなりません。
営業所技術者になることができる主な資格・免許(一般建設業許可の場合)
資格取得時期によっては、解体工事に関する1年以上の実務経験または登録解体工事講習の修了が追加で必要となります。また、資格がない場合でも、指定学科卒業後の実務経験、10年以上の実務経験、施工管理技術検定合格者に対する要件緩和などによって、営業所技術者等の要件を満たせる可能性があります。
営業所技術者は、原則としてその営業所に常勤し、専らその職務に従事する必要があります。一定の要件を満たす場合を除き、営業所から常時離れることになる現場技術者との兼務はできません。
③誠実性の要件
建設業許可の審査においては、申請者や役員等に「誠実性」があることが求められています。ここでいう誠実性とは、建設工事の契約や履行に関して社会的に非難されるような行為がないことを指しています。
④財産的基礎の要件
以下のいずれかを満たす必要があります。
- 自己資本が500万円以上(直前の決算書で確認)
- 500万円以上の資金調達能力(金融機関の預金残高証明書などで証明)
⑤欠格要件等に該当しないこと
建設業許可を受けるためには、申請者や役員等が欠格要件に該当しないことが条件となります。欠格要件とは、法令に基づいて許可を与えられない事由を指し、信頼性のない事業者を排除する役割を担っています。
⑥適切な社会保険への加入
建設業許可を受けるためには、社会保険への適正加入も重要な要件です。これは建設業法だけでなく、労働・社会保険関係法令も同様に遵守し、働く人々の安全と生活を守る観点から強く求められています。
要件の確認を甘く見ない
「経管になれると思っていたが書類が揃わなかった」「営業所技術者の実務経験が証明できなかった」というケースは珍しくありません。申請前に書類の準備状況まで含めて確認することが重要です。
特に解体工事業の場合、実務経験の証明には注文書・契約書といった客観的資料が必要になるため、早い段階からの準備をおすすめします。
解体工事業の建設業許可でお困りの方へ
広島県で解体工事業の建設業許可を取得するには、経営業務の管理責任者、営業所技術者、財産的基礎、実務経験の証明書類などを事前に確認する必要があります。
自社で申請できる見込みがあるか確認したい方は、下記の「解体工事業の建設業許可について無料相談する」からお問い合わせください。
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解体工事業の建設業許可申請で必要となる主な書類
広島県で解体工事業の建設業許可を取得するには、申請書を作成するだけでなく、会社の状況や許可要件を客観的に裏付ける資料をあわせて提出する必要があります。ここでは、広島県で解体工事業の建設業許可を申請する際に準備すべき主な書類を、4つのカテゴリーに分けて解説します。
申請内容や会社の状況を記載する書類
建設業許可申請書のほか、法人の場合は役員等の一覧表、営業所一覧表、営業所技術者等一覧表などを作成します。新規申請では、これらに加えて次の書類も必要です。
- 解体工事業の工事経歴書
- 直前3年間の工事施工金額
- 使用人数、健康保険等の加入状況
- 財務諸表、営業の沿革、定款
また、営業所の実態を確認するため、営業所の外観や内部を撮影した写真の提出も求められます。
常勤役員等の経営経験を証明する書類
常勤役員等については、常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書や略歴書に加え、建設業に関する経営経験と現在の常勤性を確認できる資料を提出します。
特に注意したいのが、建設業を営んでいた事実を、確定申告書、工事の契約書、注文書などの客観的資料によって説明する必要があるということです。「5年以上経営していた」という申告だけでは足りず、必要な期間を資料で裏付けられるかどうかが審査のポイントになります。
営業所技術者の資格・実務経験を証明する書類
営業所技術者については、営業所技術者等証明書と、営業所への常勤性・専任性を確認する資料を提出します。
- 資格で要件を満たす場合:1級土木施工管理技士、2級土木施工管理技士(土木)、1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士(建築・躯体)、解体工事施工技士などの資格証明書または合格証明書の写しを提出します。広島県へ書面で申請する場合は、免状等の写しに加えて、窓口で原本を提示する必要があります。資格の種類や取得時期によっては、実務経験証明書や登録解体工事講習の修了証が必要となる場合があります。
- 実務経験で要件を満たす場合:実務経験証明書に加えて、その期間に解体工事の施工または施工の指揮・監督に従事していたことを確認できる契約書・注文書等の写しを準備します。契約書等を提出できない場合は、所定様式の発注証明書によって確認を受ける方法があります。単に建設会社へ在籍していた期間や、事務作業・雑務に従事していた期間は、技術上の実務経験には含まれません。
財産的基礎や社会保険への加入を確認する書類
財産的基礎については、直前期の財務諸表によって自己資本を確認します。自己資本が500万円未満の場合は、500万円以上の資金調達能力を証明するため、金融機関が発行した預金残高証明書や融資証明書などを提出する方法があります。
このほか、次の書類も必要です。
- 法人事業税または個人事業税の納税証明書
- 健康保険・厚生年金保険、雇用保険への加入状況を確認する資料
- (法人の場合)履歴事項全部証明書、株主・出資者に関する調書 など
必要書類は申請区分・会社の状況によって異なる
建設業許可を一つも持っていない場合は「新規申請」となり、会社・営業所に関する書類一式の提出が基本です。一方、すでに他業種の建設業許可を持っており解体工事業を追加する場合は「業種追加申請」となり、以前の申請内容から変更のない書類については省略できることがあります。
さらに、法人か個人事業か、営業所技術者の要件を資格で満たすか実務経験で満たすかによっても、必要書類は変わってきます。書類収集を始める前に、自社がどの要件・申請区分に該当するのかを整理しておくことが、広島県で解体工事業の建設業許可をスムーズに取得するための第一歩です。
解体工事業登録を受けている事業者が建設業許可を取得する手順
解体工事業登録から建設業許可への移行は、以下の4ステップで進めます。
ステップ1:要件の事前確認
まず、上記の各要件を自社が満たしているかを確認します。特に確認が必要なのは以下の点です。
- 常勤役員等の要件を満たす人物はいるか?経営年数の証明書類は用意できるか?
- 営業所技術者の資格・実務経験は要件を満たしているか?
- 直近の決算書で自己資本が500万円以上等、財産的基礎をクリアしているか?
- 社会保険に適切に加入しているか?
不明点が多い場合は、早めに行政書士へ相談することをおすすめします。
要件を満たせるか判断が難しい場合は、申請準備を進める前に確認しておくと安心です。広島県で解体工事業の建設業許可を検討している方は、下記の「解体工事業の建設業許可について相談する」からお問い合わせください。
ステップ2:建設業許可(解体工事業)を申請する
広島県の申請先は、主たる営業所のある市町村によって申請窓口が異なります。詳しくは「広島県の建設業許可|申請窓口一覧」の記事をご確認ください。
審査期間の目安はおおむね45日間です。
ステップ3:建設業許可の取得
許可が下りると、許可区分や技術者配置等の要件を満たす範囲で、税込500万円以上の解体工事を適法に受注できるようになります。また、建設業許可取得後は、経営事項審査を受けたうえで、広島県や市町などの発注機関が実施する入札参加資格審査へ進むことが可能になります。
ステップ4:建設業許可に関する届出書を提出する
解体工事業登録を受けている事業者が、土木工事業、建築工事業または解体工事業の建設業許可を取得すると、許可取得日に解体工事業登録の効力が失われます。
許可取得日から30日以内に、解体工事業登録を行った都道府県へ、次の書類を提出します。
- 建設業許可に関する届出書
- 建設業許可通知書の写し
これは、事業自体を廃止するときに提出する「解体工事業廃業等届出書」とは異なる手続です。
解体工事業を継続する場合は、建設業許可を取得する前に、解体工事業登録の廃業等届出書を先行して提出しないよう注意してください。手続は、原則として「建設業許可の取得→建設業許可に関する届出書の提出」の順に進めます。
建設業許可も解体工事業登録も有効でない状態で解体工事業を営むと、工事金額や契約内容に応じて、建設業法または建設リサイクル法に抵触するおそれがあります。
行政書士に相談できること
解体工事業の建設業許可申請では、請け負う工事内容や請負金額の整理、常勤役員等(経営業務の管理責任者等)や営業所技術者等の要件確認、実務経験の証明、必要書類の収集など、申請前に確認すべき事項が多くあります。
行政書士にご相談いただける主な内容は、次のとおりです。
- 建設業許可が必要となる工事かどうかの確認
- 請け負う工事が解体工事業に該当するかの確認
- 解体工事業登録と建設業許可のどちらが必要かの整理
- 一般建設業と特定建設業の区分に関する相談
- 知事許可と大臣許可のどちらに該当するかの確認
- 許可要件に適合しているか、許可取得の可能性についての診断
- 資格や実務経験による営業所技術者等の要件確認
- 実務経験を証明するための資料の確認
- 必要書類の洗い出しと収集方法の案内
- 建設業許可申請書類の作成、提出および補正対応
- 既に建設業許可を受けている事業者の業種追加や変更届の確認
- 建設リサイクル法に基づく届出など、解体工事に関連する手続きの確認
特に、解体工事を新たに始める事業者や、これまで解体工事業登録により工事を請け負ってきた事業者は、工事を行う区域、請負金額、既に取得している建設業許可の業種などを整理し、解体工事業登録と建設業許可のどちらが必要となるかを確認することが重要です。
なお、実際の解体方法、施工計画、構造上の安全性、アスベストの有無や除去方法、廃棄物の処理方法などについては、施工業者、建築士、技術者、調査機関等による専門的な判断が必要となります。
行政書士が主に担うのは、建設業許可や解体工事業登録の要件確認、申請書類の作成、添付書類の収集、申請代理、行政庁からの補正への対応、関連する行政手続きの整理および進行管理です。
公式情報も確認しましょう
解体工事業の建設業許可を検討する場合は、国土交通省や広島県の公式情報も確認しておくと安心です。
特に、工事内容の区分、許可要件、申請様式、手引きは、制度改正により変更されることがあります。
実際に申請を進める際は、次のような公式情報も確認してください。
申請時点の最新情報を確認したうえで、書類の準備を進めることが大切です。
よくあるご質問(FAQ)
- Q解体工事業登録のまま500万円以上の工事を受けたらどうなりますか?
- A
必要な建設業許可を受けずに税込500万円以上の解体工事を請け負った場合は、建設業法違反となります。内容によっては罰則や監督処分の対象となるほか、その後の建設業許可申請にも影響する可能性があります。工事を完成させた時点ではなく、請負契約を締結する段階で許可の要否を確認することが重要です。
- Q解体工事業登録と建設業許可は同時に有効な状態で保有できますか?
- A
いいえ。解体工事業登録を受けている事業者が、土木工事業、建築工事業または解体工事業の建設業許可を取得すると、許可取得日に解体工事業登録の効力が失われます。その後、許可取得日から30日以内に、登録を行った都道府県へ「建設業許可に関する届出書」と建設業許可通知書の写しを提出し、登録簿からの抹消手続を行います。
- Q解体工事業登録の期間は、建設業許可の常勤役員等や営業所技術者の実務経験として認められますか?
- A
条件によっては認められます。常勤役員等の経営経験については、解体工事業登録を受けていた期間中に、実態として建設業を経営していたことを客観的な資料で証明できれば、経営経験として認められる可能性があります。営業所技術者等の実務経験についても、解体工事の施工または施工の指揮・監督に従事していた期間を、実務経験証明書、契約書、注文書などで確認できる場合は、経験年数に算入できる可能性があります。
- Q要件を満たせているか自分では判断が難しいのですが、どうすればよいですか?
- A
行政書士にご相談ください。建設業許可の要件は、常勤役員等・営業所技術者等・財産的基礎・社会保険など多岐にわたり、書類の揃え方も複雑です。特に実務経験で営業所技術者の要件を満たす場合は、多くの証明書類の準備が必要になることもあります。当事務所では、広島県内の解体工事業者様を対象として、建設業許可取得に関するご相談を承っております。初回相談無料です。
- Q建設業許可を取得したら、解体工事業登録は自動で抹消されますか?
- A
登録の効力は許可取得日に失われますが、登録簿からの抹消に必要な届出は別途提出する必要があります。解体工事業登録を受けている事業者が、土木工事業、建築工事業または解体工事業の建設業許可を取得すると、その日に解体工事業登録の効力が失われます。ただし、登録簿からの抹消手続が自動的に完了するわけではありません。許可取得日から30日以内に、登録を行った都道府県へ「建設業許可に関する届出書」と建設業許可通知書の写しを提出してください。
まとめ
解体工事業で建設業許可を取得したいとお考えの広島県内の解体業者様は、まず要件の確認から始めてみてください。判断が難しい場合は、専門家への相談をおすすめします。行政書士に相談すれば、要件の確認から書類の準備、申請手続きまで一貫してサポートを受けることができます。
建設業許可(解体工事業)の申請手続きを進めていきたい方は、下記の「広島県で建設業許可の新規申請を依頼する」ページもご確認ください。
個別の状況を確認したい方は、「解体工事業の建設業許可について相談する」からお問い合わせください。初回相談は無料です。


