
広島で建設業を始める、事業を拡大していくためには「建設業許可申請」の検討が欠かせません。建設業許可を取得するためには6つの要件を満たす必要がありますが、その内容は非常に専門的かつ複雑です。本記事では、広島県の「建設業許可申請の手引き」や国土交通省のガイドラインなどをもとに、6つの要件について詳細を整理しました。経営業務の管理責任者や営業所技術者等の配置、社会保険加入、財務基盤の確認など、許可取得のために押さえるべきポイントを行政書士の視点で徹底解説します。
建設業許可に必要な6つの要件とは?
(他の都道府県でも同様ですが)広島県で建設業許可を取得するためには、次の6つの要件を満たすことが必要です。
- 経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものがいること
(経営業務の管理責任者) - 営業所技術者等がいること
- 誠実性
- 財産的基礎等を有していること
- 欠格要件等に該当しないこと
- 適切な社会保険に加入していること

一つでも欠けると許可は認められず、許可後に要件を失えば取消処分を受ける場合もあります。許可は単なる形式的なものではなく、健全で信頼できる建設業者であることを証明する基盤となっています。
なぜ6つの要件が重要なのか?許可の土台となる理由
建設業は公共工事や民間工事を問わず社会基盤に直結する事業であるため、法令違反や経営不安定な業者を排除する仕組みが必要です。その役割を果たしているのが6つの要件であり、施工体制の信頼性、経営の継続性、社会的信用を担保しています。つまり、要件を満たすことは許可取得の条件であると同時に、発注者や地域社会に対する「安心の証明」でもあるということです。
建設業許可に必要な6つの要件
①経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものがいること
建設業許可を受けるための最初の要件は、「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」=「経営業務の管理責任者(以下、経管)」を営業所に常勤で配置することです。これは会社全体の経営を統括し、建設業務を適正に遂行する能力がある人物を意味します。
原則として、経管には常勤役員等(ざっくり役員や個人事業主自身が該当)のうち1人が、過去に一定期間、建設業の経営業務に携わった経験が必要で、次のいずれかに該当することが必要です。
【常勤役員等】
・建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
・建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
・建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
上記の要件を満たす経管を配置することができない場合には、会社が次のような建設業に関する経営体制のいずれかを備えていれば、経管の要件を満たしているものと見なされます。
【常勤役員等】+【経営体制】①
【常勤役員等】
建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
例:建設業の役員経験2年+労務管理部長経験3年
=役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者の経験計5年以上
【 常勤役員等を直接に補佐する者】
上記常勤役員等を直接に補佐する者で、許可の申請を行う建設業者において5年以上の財務管理・労務管理・業務運営の業務経験を有する者(同一人の兼務可・経管との兼務不可)
【常勤役員等】+【経営体制】②
【常勤役員等】
5年以上役員等としての経験を有し、かつ建設業に関し2年以上役員等としての経験を有する者
例:建設業の役員経験2年以上+建設業以外の異業種での役員経験3年以上
=役員等の経験5年以上
【 常勤役員等を直接に補佐する者】
上記常勤役員等を直接に補佐する者で、許可の申請を行う建設業者において5年以上の財務管理・労務管理・業務運営の業務経験を有する者(同一人の兼務可・経管との兼務不可)
このように、経管の要件では、建設業において5年以上の経営経験を有することが基本要件となりますが、補佐経験や経営体制を考慮する緩和措置も設けられています。
②営業所技術者等がいること
建設業許可を取得する上で経管と並んで重要な要件が、営業所ごとに「営業所技術者等」を配置することです。営業所技術者等とは、建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保するために専門的な知識や経験を有し、営業所に常勤する人材を指します。
営業所技術者等に求められる要件は、一般建設業と特定建設業で異なり、具体的には次のようになります。許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、次に掲げるいずれかの要件に該当する者を配置する必要があります。
一般建設業の場合(営業所技術者)
① 指定学科を卒業後実務経験を有する者
・高校(旧実業学校を含む)、中等教育学校、専門学校(1年制)~5年以上
・大学(高等専門学校・旧専門学校を含む)、専門学校(2年制以上)~3年以上
⇒ 国土交通省 指定学科一覧
② 10年以上の実務経験を有する者(学歴・資格を問わない)
③ ①②と同等又はそれ以上の知識・技術・技能を有すると認められた者
・国家資格者等を有する者
・複数業種に係る実務経験を有する者
⇒ 国土交通省 営業所技術者等となり得る国家資格一覧
⇒ 国土交通省 複数業種に係る実務経験を有する者一覧
特定建設業の場合(特定営業所技術者)
① 1級の国家資格等を有する者
② 一般建設業の営業所技術者の要件を満たし、かつ元請として4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的な実務の経験を有する者
③ 国土交通大臣が、①又は②に掲げる者と同等以上の能力を有すると認めた者
⇒ 建設業法第15条第2号ハの規定により同号イに掲げる者と同等以上の能力を有する者を定める件(平成元年建設省告示第128号)
指定建設業(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)については、上記の①又は③に該当する者であること(③による認定は特殊なルートのため、事前に認定条件に該当するかどうか、確認・相談することをおすすめします。)
要件が複雑でちょっと自分で確認している時間がないな・・・、と感じられる方は、当事務所の申請代行サービスをご利用ください。
③誠実性の要件
建設業許可の審査においては、申請者や役員等に「誠実性」があることが求められています。ここでいう誠実性とは、建設工事の契約や履行に関して社会的に非難されるような行為がないことを指しています。
たとえば、過去に重大な契約違反や工事の手抜き、不正な取引を行った経歴がある場合は、許可が認められません。また、役員、事業主、支配人、営業所の代表者といった経営上の重要な地位にある者が法令違反を繰り返していないかも審査対象となります。誠実性の要件は、発注者や社会から信頼される業者であることを担保するものであり、健全な建設業界を維持するための重要な柱となっています。
誠実性を欠く典型的な事例
具体的には、建設業法や労働関係法令に違反した処分歴がある場合や、契約上の重大な違反行為を行った場合は、誠実性を欠くと判断されます。また、過去に談合など独占禁止法違反に関与した経歴がある場合も同様です。これらの行為は公共工事や民間工事における信頼を損ない、許可審査で大きなマイナスとなります。
虚偽や不正に関する行為
・許可申請書や届出書に虚偽の記載をする。
・添付書類に重要な事実の記載を欠く、あるいは偽造・改ざんする。
・経営業務の管理責任者や専任技術者に関する資格・実務経験を偽って申請する。
これらは申請手続そのものに関わるため、発覚した時点で誠実性を欠くとされ、許可は下りません。
建設業法や関係法令の違反
・無許可営業(許可を受けないで500万円以上の工事を請け負う)。
・建設業許可を受けていない業種の工事を請け負う。
・許可業種を超えた不適切な施工や請負契約を行う。
法令違反は誠実性を損なう行為とされ、場合によっては欠格要件に該当します。
請負契約に関する不正行為
・請負契約の重要事項を隠す、虚偽説明をする。
・工事代金や契約条件に関するトラブルを故意に発生させる。
・発注者や下請に対して不誠実な対応を繰り返す。
契約の公正な履行を害する行為は、発注者からの信頼を著しく失わせるため誠実性欠如と判断されます。
経営陣や役員等の不正行為
・役員や事業主、支配人、営業所代表者など経営に関与する立場の者が上記のような行為をしている場合。
会社全体が法令違反をしていなくても、役員一人の不正で「法人全体として誠実性を欠く」と判断される可能性があります。
④財産的基礎を有すること
建設業は多額の資金を要する取引が中心となるため、健全な財務基盤を有していることも許可の必須条件です。これを「財産的基礎」の要件と呼びます。下請業者への支払い能力や工事を安定的に遂行できる体制があるかどうかを判断するものです。財務面での信頼性を欠いていては建設業を継続的に営むことは難しいともいえるでしょう。
財産的基礎の要件は、一般建設業と特定建設業で異なり、具体的には次のようになります。
一般建設業の場合
一般建設業を営む場合は、最低限の財務基盤として「自己資本500万円以上」が求められます。これは直近の決算書、資本金額、預金残高証明などで確認されます。中小事業者にとっても達成可能な水準ですが、これを満たせない場合は金融機関からの融資証明など、金銭的信用を示す書類を用意することでも代替可能です。
特定建設業の場合
特定建設業の許可では、元請として大規模工事を下請に発注する立場となるため、さらに高い財務的健全性が必要です。具体的には、自己資本額や資本金の規模に加え、流動比率などの基準が設けられています。これにより、下請業者への代金支払い能力や資金繰りの安定性を確認し、業界全体の信頼性を維持する仕組みとなっています。具体的には次の①~④を満たす必要があります。
① 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと。
{繰越利益剰余金の負の額-(資本剰余金+利益準備金+繰越利益剰余金を除くその他利益剰余金)}÷資本金×100 ≦ 20%
② 流動比率が75%以上であること。
(流動資産合計 ÷ 流動負債合計)×100 ≧ 75%
③ 資本金の額が2,000 万円以上であること。
資本金≧2,000万円
④ 自己資本の額が4,000 万円以上であること。
純資産合計≧4,000万円
⑤欠格要件等に該当しないこと
建設業許可を受けるためには、申請者や役員等が欠格要件に該当しないことが条件となります。欠格要件とは、法令に基づいて許可を与えられない事由を指し、信頼性のない事業者を排除する役割を担っています。具体的には次の通りです。
許可申請書又は添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき
法人・法人の役員等(※)、個人事業主・支配人、その他支店長・営業所長等が、次のような要件に該当しているとき
(1)破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
(2)心身の故障により建設業を適正に営むことができない者(精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者)
(3)①不正な手段により許可を受けたこと、②指示処分などの対象に該当する場合で情状が特に重いこと、③営業停止処分に従わないことのいずれかにより許可を取り消されて5年を経過しない者
(4)(3)の場合で、許可の取消処分に係る聴聞の通知の日以降に廃業届を提出し、その届出の日から5年を経過しない者
(5)(4)の廃業届を提出した場合において、許可の取消処分に係る聴聞の通知の日前60 日以内に、役員、支配人、支店長等であった者で、その届出の日から5年を経過しない者
(6)建設業の営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
(7)許可を受けようとする建設業について、営業を禁止されており、その禁止の期間が経過しない者
(8)次に該当する者で、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
① 拘禁刑以上の刑に処せられた者
② 建設業法の規定に違反し、罰金の刑に処せられた者
③ 建築基準法、宅地造成等規制法、景観法、都市計画法、労働基準法、職業安定法若しくは労働者派遣法のうち政令で定める規定に違反して罰金の刑に処せられた者
④ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、罰金の刑に処せられた者
⑤ 刑法第204 条(傷害)、第206 条(現場助勢)、第208 条(暴行)、第208 条の3(凶器準備集合及び結集)、第222 条(脅迫)、第247 条(背任)若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられた者
(9)暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
(10)(9)のものが、その事業活動を支配する者
⑥適切な社会保険に加入していること
建設業許可を受けるためには、社会保険への適正加入も重要な要件です。これは建設業法だけでなく、労働・社会保険関係法令も同様に遵守し、働く人々の安全と生活を守る観点から強く求められています。事業所の形態(法人・個人)、常用の労働者数、就労形態により加入すべき社会保険は異なります。法人であれば原則として健康保険・厚生年金保険・雇用保険のすべてに加入しなければなりません。個人事業主についても、従業員を雇用する場合には雇用保険や労災保険への加入が必要です。社会保険未加入のままでは申請が受理されず、許可を維持するためにも継続的な加入状況の確認が行われます。
加入すべき適切な社会保険については、国土交通省Webサイトの資料で確認できますので、参考にしてください。

まとめ|
建設業許可を確実に取得するためには、6つの要件を全て満たすことが必要です。しかし、実務上では、経営業務の管理責任者の経験年数、営業所技術者の資格、実務経験や社会保険加入の状況など、多岐にわたる確認作業や資料を整える必要があり、本業と並行して片手間で対応するのは難しいのが現状です。
こうした作業を効率的に進めるためには、行政書士の専門的なサポート、つまり申請代行サービスを受けることが有効です。行政書士は、法律に基づく要件の判定、豊富な実務経験による正確な書類作成や申請窓口との調整まで一貫して支援してもらうことができ、建設業許可取得の成功率を高める強力なパートナーとなります。
特に広島で建設業許可の取得を検討されている方にとっては、地域事情に精通した行政書士に相談することが大きな安心につながります。ご不明な点がありましたら、お気軽に当事務所の無料相談や申請代行サービスをご利用ください。


