建設工事の請負契約について|広島の行政書士が解説

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建設工事の請負契約とは、建設業者が、建設工事を完成させることを約束し、注文者がその建設工事の完成に対して、報酬を支払うことを約束する契約です。

今回の記事では、建設工事の請負契約の重要なポイントや注意事項について解説いたします。

建設工事の請負契約とは?

建設工事とは

「建設工事」については、次のように建設業法で定義されています。

建設業法

(定義)
第2条 この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。
(以下、省略)
                    引用元:建設業法|e-Gov法令検索

そして、別表第一には、次の工事が掲げられています。

土木一式工事土木工事業
建築一式工事建築工事業
大工工事大工工事業
左官工事左官工事業
とび・土工・コンクリート工事とび・土工工事業
石工事石工事業
屋根工事屋根工事業
電気工事電気工事業
管工事管工事業
タイル・れんが・ブロツク工事タイル・れんが・ブロツク工事業
鋼構造物工事鋼構造物工事業
鉄筋工事鉄筋工事業
舗装工事舗装工事業
しゆんせつ工事しゆんせつ工事業
板金工事板金工事業
ガラス工事ガラス工事業
塗装工事塗装工事業
防水工事防水工事業
内装仕上工事内装仕上工事業
機械器具設置工事機械器具設置工事業
熱絶縁工事熱絶縁工事業
電気通信工事電気通信工事業
造園工事造園工事業
さく井工事さく井工事業
建具工事建具工事業
水道施設工事水道施設工事業
消防施設工事消防施設工事業
清掃施設工事清掃施設工事業
解体工事解体工事業

建設工事の詳細については、広島県の建設業許可の手引き等をご参照ください。

請負契約とは

請負契約については、民法に規定があります。

民法

(請負)
第632条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
                      引用元:民法|e-Gov法令検索

また、建設業法には次のような規定があります。

建設業法

(請負契約とみなす場合)
第24条 委託その他いかなる名義をもつてするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。
                    引用元:建設業法|e-Gov法令検索

つまり、実質的に「建設業者が、建設工事を完成させることを約束し、注文者がその建設工事の結果に対して、報酬を支払うことを約束する契約」であれば、形式や名義を問わず、建設工事の請負契約と見なされ、建設業法の規定が適用されます。

建設業法第19条に定める建設工事の請負契約

当初契約の場合

建設工事の請負契約については、建設業法第19条にその内容が規定されています。

建設業法

(建設工事の請負契約の内容)
第19条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
一 工事内容
二 請負代金の額
三 工事着手の時期及び工事完成の時期
四 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
五 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
六 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
七 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
八 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更及びその額の算定方法に関する定め
九 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
十 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め ※1
十一 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
十二 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
十三 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
十四 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
十五 契約に関する紛争の解決方法
十六 その他国土交通省令で定める事項

※1 資材提供、建設機械の貸与がある場合に定める
(以下、省略)
                    引用元:建設業法|e-Gov法令検索

このように、建設工事の請負契約は、書面で作成して、16の事項を記載し、署名又は記名押印をして注文者と請負人双方に交付しなければなりません。

また、発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン(第7版)によると、契約書面の交付については、災害時等でやむを得ない場合を除き、原則として工事の着工前に行わなければならない、とされています。

契約内容を変更する場合

建設業法

(建設工事の請負契約の内容)
第19条
2 請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
(以下、省略)
                    引用元:建設業法|e-Gov法令検索

前述した建設工事の請負契約書の16の事項について変更する場合には、必ずその変更の内容を書面に記載し、署名または記名押印して注文者と請負人双方に交付するようにしましょう。

一定規模以上の解体工事等の場合

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)第13条においては、一定規模以上の解体工事等に係る契約を行う場合に、以下の①から④までの4事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならないこととされており、そのような工事に係る契約書面は、上記の16の事項に加え、以下の4事項の記載が必要となります。

  • 分別解体等の方法
  • 解体工事に要する費用
  • 再資源化等をするための施設の名称及び所在地
  • 再資源化等に要する費用

一定規模」とは、次のそれぞれの規模を言います。

  • 建築物に係る解体工事…当該建築物(当該解体工事に係る部分に限る。)
    の床面積の合計が80平方メートル
  • 建築物に係る新築又は増築の工事…当該建築物(増築の工事にあっては、
    当該工事に係る部分に限る。)の床面積の合計が500平方メートル
  • 建築物に係る新築工事等(上記イを除く)…その請負代金の額が1億
  • 建築物以外のものに係る解体工事又は新築工事等…その請負代金の額が
    500万円

※ 解体工事又は新築工事等を二以上の契約に分割して請け負う場合に
おいては、これを一の契約で請け負ったものとみなして、上記の「一定
規模」に関する基準を適用する。ただし、正当な理由に基づいて契約を
分割したときは、この限りでない。

よくあるご質問

Q
うちの会社は建設工事をやっていないので、建設工事の請負契約書は不要ですか?
A

建設業法で定義された29種類の建設工事に該当する工事であれば、その規模に関係なく建設工事の請負契約書が必要です。本当に建設工事を請け負っていないのか、今一度、ご確認をお願いいたします。

Q
うちの会社は建設業許可を持っていないので、建設工事の請負契約書は不要ですか?
A

いいえ、建設業許可を持っていない場合でも、建設工事を請け負う場合には、建設工事の請負契約書が必要となります。

まとめ

建設工事を請け負う場合には建設工事の請負契約を書面等で締結する必要があります。契約書は、法定の16項目について記載し、署名又は記名押印をして注文者と請負人双方に交付しなければなりません。

建設工事の請負契約書は、建設業許可の有無、工事規模、元請・下請を問わず、建設工事を請け負う場合には作成する必要があります。作成しなかった場合には、建設業法違反となります。

今回の記事はここまでとなります。

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