
今回の記事では、建設業許可に必要な要件の1つである、営業所技術者等について解説いたします。
この要件は、これまでは「専任技術者」と呼ばれていましたが、令和6年の改正法による建設業法第7条第2号及び同法第15 条第2号の条文改正に伴って、「営業所技術者等」と呼称が変更されました。
一般建設業許可で求められる営業所技術者等を「営業所技術者」と呼び、特定建設業許可で求められる営業所技術者等を「特定営業所技術者」と呼び、これらの総称を「営業所技術者等」といいます。なお、これは呼称の変更となっているため、法律上求められる要件はこれまでの内容と変更はありません。
それでは、営業所技術者や特定営業所技術者に求められる要件は、具体的にどのような内容になっているのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
営業所技術者等とは

建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保するためには、許可を受けようとする建設業に係る建設工事についての専門的知識が必要になります。そのため、建設業許可の要件の一つとして、営業所ごとに営業所技術者等を置くことが求められています。
営業所技術者等は、契約時から施工完了まで、技術的な責任を担っています。具体的には、工事の工法を吟味し、顧客には技術的な説明を行い、見積もりや契約締結をサポートします。さらに、現場の技術者に対しては、適正な施工が行われるよう指導監督する役割も果たさなければなりません。
この重要な役割を果たすため、営業所技術者等には、法律で定められた一定の資格や経験が求められています。
営業所技術者等の要件
営業所でのこのような技術的役割を担うためには、建設業法第7条第2号や同法第15 条第2号で、一定の資格や経験を持つ人材が求められています。この資格要件の基準は、一般建設業許可と特定建設業許可で違いがあり、建設業の種類によっても、それぞれ必要な資格等が異なっています。
(許可の基準)
第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 省略
二 その営業所ごとに、営業所技術者(建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者であつて、次のいずれかに該当する者をいう。第十一条第四項及び第二十六条の五において同じ。)を専任の者として置く者であること。
イ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校(旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による実業学校を含む。第二十六条の八第一項第二号ロにおいて同じ。)若しくは中等教育学校を卒業した後五年以上又は同法による大学(旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学を含む。同号ロにおいて同じ。)若しくは高等専門学校(旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を含む。同号ロにおいて同じ。)を卒業した(同法による専門職大学の前期課程を修了した場合を含む。)後三年以上実務の経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの
ロ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し十年以上実務の経験を有する者
ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者
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(許可の基準)
第十五条 国土交通大臣又は都道府県知事は、特定建設業の許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 省略
二 その営業所ごとに、特定営業所技術者(建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者であつて、次のいずれかに該当する者をいう。第二十六条の五において同じ。)を専任の者として置く者であること。ただし、施工技術(設計図書に従つて建設工事を適正に実施するために必要な専門の知識及びその応用能力をいう。以下同じ。)の総合性、施工技術の普及状況その他の事情を考慮して政令で定める建設業(以下「指定建設業」という。)の許可を受けようとする者にあつては、その営業所ごとに置くべき専任の者は、イに該当する者又はハの規定により国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者でなければならない。
イ 第二十七条第一項の規定による技術検定その他の法令の規定による試験で許可を受けようとする建設業の種類に応じ国土交通大臣が定めるものに合格した者又は他の法令の規定による免許で許可を受けようとする建設業の種類に応じ国土交通大臣が定めるものを受けた者
ロ 第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者のうち、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が政令で定める金額以上であるものに関し二年以上指導監督的な実務の経験を有する者
ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者
この要件を分かりやすくまとめると、次のテーブルのようになります。
| 一般建設業許可 | 特定建設業許可 | |
|---|---|---|
| イ | ◆所定学科卒業+実務経験 ・高校所定学科卒業の場合は5年以上 ・大学所定学科卒業の場合は3年以上 | ◆一定の国家資格等(一級) ・一級建築施工管理技士 ・一級土木施工管理技士 ・一級電気工事施工管理技士 ・一級管工事施工管理技士 等 |
| ロ | ◆10年以上の実務経験 | ◆一般建設業要件 +指導監督的実務経験 左記イ、ロ、ハのいずれかに該当し、元請として4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的な実務経験を有する ※指定建設業(土、建、電、管、鋼、舗、園)は除く |
| ハ | ◆一定の国家資格等(一級、二級) ・一級、二級建築施工管理技士 ・一級、二級土木施工管理技士 ・一級、二級電気工事施工管理技士 ・一級、二級管工事施工管理技士 等 ◆検定合格(技士補・技士) +実務経験 ・二級一次・二次技術検定合格の場合は5年以上 ・一級一次・二次技術検定合格の場合は3年以上 ※技術検定合格者を指定学科卒業と同等とみなす(技術検定種目に対応する指定学科に限る) ※指定建設業(土、建、電、管、鋼、舗、園)と通は除く | ◆大臣認定 |
営業所技術者等以外の建設業許可の要件や、建設業許可の概要については、別の記事で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
営業所技術者等の「専任」について
専任とは、その営業所に常勤(テレワークを行う場合を含む。)してもっぱらその職務に従事することをいいます。通常の勤務時間中は、その営業所において職務に従事することが必要ということです。
営業所技術者等の住所又はテレワークを行う場所とその営業所の所在地とが著しく離れていて通勤不可能な距離にある場合や、他の法令により専任が必要とされている者(例えば、専任の宅地建物取引士や管理建築士である者)が営業所技術者等と兼ねる場合は、原則として専任とは認められません。
また、営業所技術者等と工事現場の主任技術者又は監理技術者とは原則兼務することができません。営業所技術者等は営業所で職務を執行しなければならず、営業所を離れ工事現場に出ることはできないため、兼務が禁止されています。
例外的に、営業所技術者等は、主任技術者・監理技術者を専任で配置する必要のない工事や、請負代金の額が1億円未満(建築一式工事については2億円未満)の工事では、一定の要件を満たしたうえで主任技術者・監理技術者の兼務が可能です。
よくある質問
- Q営業所技術者等とはどんな人ですか?
- A
営業所技術者等とは、建設工事に関する請負契約の適正な締結及びその履行を確保するために営業所に常勤して専ら職務に従事することを要する者です。
- Q営業所技術者等になれる資格はどんなものがありますか?
- A
広島県の建設業許可申請の手引に記載された「資格・免許等コード番号一覧表」(103ページ~)をご確認ください。
- Q複数の業種を一人の営業所技術者等で担当できますか?
- A
必要な資格などがあれば、一人で複数業種の営業所技術者等になることができます。
- Q他の会社からの出向社員を営業所技術者等とすることはできますか?
- A
出向社員であっても、常勤性が確認できれば営業所技術者等として認められます。
まとめ

営業所専任技術者は、建設業許可の重要な要件の一つです。自力で申請をする場合には、資格要件や実務経験の確認が特に重要ですが、何か不明な点がある場合には、建設業許可の専門の行政書士に相談することをお勧めします。
当事務所でも、建設業許可に関する相談対応や申請代行サービスを提供しております。ご不明な点等ありましたら、お問い合わせフォーム等から、お気軽にご質問ください。初回相談は無料です。


